読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

星新一 一〇〇一話をつくった人  最相葉月著  新潮社  2007年

 SF作家・星新一の生涯を描いたノンフィクション。

 作家の本性、と言うものを私は本当に見たいんだろうか。
 作家は夢を売る商売でもある訳で、作家本人が見せたい顔(エッセイとか対談とかサイン会とか)以外を、私は本当に見たいものなんだろうか。特に、この「星新一」と言う作家で。
 結構なボリュームで、こつこつと読みました。私も著者・最相さんと同じように、学校の図書館で星新一全集を借りて読んだクチです。確かに、全集を読み終わった後、ぱったり読まなくなりました。一〇〇一話達成のニュースも聞いていたのに、「いずれ読もう」と思うばかりで手に取らなかった。星新一死去を知った時にも。
 クールでスタイリッシュ、ブラックジョークを飛ばしてもあくまで温厚な紳士。作品から受けるイメージは、そのまま作家のイメージでした。人間不信で賞に拘るような人、筒井康隆に嫉妬するような人だとは思わなかった。本人が日記で書いていたように、私も星新一を神格化していたようです。
 後半の記述は読みながら泣いてしまいました。眼をかけた若手作家に対する愛情、理解ある編集者にも出会い、でも文壇からはあくまでも不遇。星新一が可愛がった江坂遊という作家さんは、今度読んでみようと強く思いました。『要素分解共鳴結合』法、これは芸人さんでこんな風なことをしていた人いたよなぁ。そしてここにも名前が出てくる宇山秀雄さん。本当に作家に愛された編集者だったんですね。
 タモリが語る星新一は、やはり神格化された偶像に沿うもののような気がします。
 中学の演劇部の練習で「殺し屋ですのよ」を朗読したりもしたけど、難しかった覚えがあります。感情を入れたら違和感が漂う。でも棒読みするのも違う。
 とりあえず、まだ読んでない作品を読まなくちゃと思いました。
 しかし、新型インフルエンザ騒ぎで大きなマスクをつけたまま、電車の中で涙ぐむ女。…周りの人には不気味だっただろうなぁ(苦笑;)。