読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

コンダクター 神永学著 角川書店 2008年

 フルート奏者・朽木奈緒美は夜毎悪夢にうなされていた。夢の中、場所は卒業した音大の大ホール。ステージに備え付けられたパイプオルガンの前で、黒いフードで顔を隠した男が頭蓋骨を持っている。思い余って心理カウンセラーに相談すると、カウンセラー・松崎は、奈緒美が部分的に記憶喪失になっていると指摘する。松崎のアドバイスに従って、音大時代の友人を訪ねる奈緒美。丁度ミュージカルのBGMを担当するため、当時の友人は一堂に会していた。
 ドイツに留学していたが、才能の行き詰まりを感じて帰国して来た指揮者・結城康文。
 結城の恋人・真矢秋穂に惹かれていたピアニスト・玉木和夫。
 留学を機に結城と別れ、玉木と婚約したヴァイオリン奏者・真矢秋穂。
 同じ頃、首のない白骨死体が見つかる。どうやら、奈緒美たちが学生の頃行方不明になったと噂された指揮科の生徒らしい。死体が持っていた写真には、奈緒美たちが写っていた。4人の関係が歪んで行く。
 結城を指揮者に迎えると共に、ミュージカルの出資を要請するプロデューサー・相葉。秋穂の昔の恋人の出現に動揺し、玉木は結城の身辺を探れと言う雑誌記者・野島の口車に乗る。秋穂は玉木の器量の小ささに失望し、刑事・石倉毅の執拗な捜査にもあってつい結城を頼りにしてしまう。
 舞台稽古での暴行殺人場面を見て、何かを思い出しそうになる奈緒美。彼女はこれとそっくりな行為を見たことがある。秋穂は何かを知っている風なのに、奈緒美に何も喋らない。かつて誰が殺されたのか、誰が殺したのか。4人を影で操る人物は。…

 やればできるじゃん、神永さん! …とかなり上から目線で言ってみる(笑)。
 べるさんお勧めの『コンダクター』、八雲シリーズよりずっと予約者も少なくて、すぐに回って来ました。表紙の絵は文庫版の八雲シリーズと、多分同じイラストレイターさんですね。
 予想外に本格派。何となく、あ、これはこの人じゃないかな、あれはこの人じゃないかな、と思いつつ、でも全てが繋がった時にはやっぱり爽快。題名にも裏の意味があったのね~。一人称と三人称が入り混じる文章はちょっと辛い物がありましたが、と言うか本格ものではルール違反じゃないかしらと言うか、きっぱり言ってしまうと読みにくいんですが(苦笑;)。
 ミュージカル用とは言えオーケストラが舞台と言うことで、何となく『のだめカンタービレ』を思い出しました。主要人物の一人は指揮者、でもこれは千秋先輩ではないな~。ミルヒにAオケを押しつけられた千秋先輩もどき君の方だわ(←名前忘れてるし・笑)。
 この終わり方はシリーズ化を視野に入れてるんでしょうか。だけどこの手はもう使えないから、次から大変だな~。必殺シリーズとか昔懐かし『ハングマン』とかスパイ大作戦的に、依頼を受けてこなしていく、みたいな感じになるのかな。
 いや~、神永さん、見直しました(笑)。べるさん、教えて下さってどうもありがとう♪