読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

赤い星 高野史緒著 ハヤカワSFシリーズJコレクション 2008年

 吉原一の花魁はロシア皇后の座を渇望し、ペテルブルグの侍は悪魔と契約した
 ギブスン meets ブルガーコフ  江戸+ロシア remix で贈る究極の幻想小説 (帯文より)

 …なんだそうで。

 ネット技術のみがいびつに発達した帝政ロシア支配下の江戸。ハッカーの町娘おきみは、吉原一の花魁で友人の真理奈太夫から、秋葉原にいるとある男の情報を集めて欲しいと依頼される。彼の名はドミトリー、現皇帝ボリスに暗殺されたと噂されている前皇太子だとか。ドミトリーが本物の皇太子かどうかはこの際関係ない、真理奈は自分が公方様の落胤であると言うこれも嘘か本当か分からない自信を根拠に、ロシア皇后にのし上がりたいらしい。
 引き受けるとも正式に答えないうちに、おきみの周りはきな臭くなる。幕府の付け家老・シュイスキー公爵からはドミトリーに関わらないよう警告を受け、分身(アバター)を使って遊んでいたネットゲームでは、見知らぬ人物から接触を受ける。何もかも作りものの筈の虚構世界から、何故か本物のペテルブルグに行けてしまったおきみ。音楽修業にペテルブルグに行った幼馴染み・龍太郎に会えるかもしれないとほのかな期待を抱くが、龍太郎自身あるものに囚われてしまっているのだ、とその世界の何者か――ケーニヒ博士と名乗り、ペテルブルグに到着した龍太郎に、真っ先に接触していた紳士――はおきみに語る。
 龍太郎はパトロンであるリボピエール一家に暖かく迎え入れられながら、帝室舞踏学校でバレエ練習のピアノ伴奏のバイトに精を出す。そこで出会った天才舞踏家・ニジンスキーに魅せられ、作曲の天啓を受ける。
 ドミトリーの後ろ盾につくクルプスキー公爵、その計らいで出たお座敷で、ドミトリーは真理奈ではなく真理奈の禿・月の兎を選ぶが、結局真理奈の野心に負けて真理奈と江戸を出奔。皇位奪還のためペテルブルグに向かう。
 時間も時空も交錯する。誰もがペテルブルグに憧れ、ペテルブルグに行くこと、住むことを夢見る。庶民はこぞってシベリア横断問答大旅(ウルトラクイズ)に参加する。それさえも、とある目的のために組み込まれたものなのに。…

 …幻想小説の粗筋なんてこんなもんだよな~。と開き直ってみたり。
 訳分からん; サイバーパンクは苦手なんだよ;;
 この作家さんもファンタジーノベル出身者です。作品が出る度一応追いかけているのですが、どんどん私の分からない方に行ってるな~、と自分の教養のなさを棚上げして言ってみる(苦笑;)。
 自分にもっと帝政ロシアだのバレエだの、歴史や芸術方面の知識があれば楽しめたんでしょうね~。でもあんまり置いてきぼりにされると、「それでも楽しめるように書くのが作家の技量ってもんだろう!?」とちょっと逆切れしてみたくなる。エッセイか何かで、やはりファンタジーノベル出身の作家・佐藤亜紀さんが「友人」として高野さんのことを書いてらして、「…なるほど」と思ったことを思い出しました。…気が合うだろうなぁ。
 結局描きたかったのはこの世界なんでしょうね。登場人物とか、みんな最終的には尻すぼみになってしまった感じでしたし。
 本当、この辺りの知識を持ってる方には面白い作品だと思います。でも万人向きじゃないな~。
 誰か解り易く噛み砕いて、アニメか何かにしてくれないかしら。『岩窟王』のスタッフとか好きそうだと思うんだけど。