読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

告白 湊かなえ著 双葉社 2008年

 友人の家に遊びに行ったら本棚に並んでまして、無理矢理借りて来ました。祥さん、いつもありがとう♪
 湊かなえデビュー作。第29回小説推理新人賞受賞。
 2008年度週刊文春ミステリーベスト10の第1位、『このミステリーがすごい!』第4位、一章ごとにそれぞれの立場から語られる連作短編集。
 ネタばれになってるかな、すみません;
 
 第一章 聖職者
 終業式の日、S中学校一年B組担任森口悠子は生徒を前に語り始める。シングルマザーだった彼女の一人娘・愛美がプールで溺死していた事件について、事故として扱われたが本当は殺人だったのだ、と。クラスの中に関係者がいて、彼女は既に復讐を果たしていた。

 第二章 殉教者
 森口悠子が辞めた後、悠子が裁いた生徒二人のうち一人・直樹は登校拒否となり、もう一人・修哉はクラスで嫌がらせを受けていた。クラスメイトに彼らを裁く権利はあるのか、疑問を抱く美月もやがて標的になる。新しく担任になった若い男性教師・寺田良輝は熱血漢を気取り、引きこもった直樹の家に家庭訪問を繰り返す。それが次の事件の引き金になると知らずに。

 第三章 慈愛者
 直樹が母親を殺した。信じられない直樹の姉は、母親の遺品を探す。母親はきっと日記に全てを書き残しているに違いない。果たして残っていた日記帳には、彼女の眼から見た真実が語られていた。森口教諭の娘の事故が直樹のせいでもあったこと、直樹の行動が終業式を境におかしくなり、潔癖症になったかと思えば自分の身なりに構わなくなったこと、引きこもった直樹を担任教師が北原美月を連れて訪問し続けたこと。直樹から語られた言葉が、母親には受け入れられないものだったこと。母親は我が子を殺す決意をする。

 第四章 求道者
 白い壁を前に、直樹は思い起こす。修哉との出会い、愛美の死、終業式の森口悠子の告白、二年生になってから母親を刺すまでの四か月。

 第五章 信奉者
 8月31日、修哉は学校に爆弾を仕掛け、遺書を自らのサイトにアップする。幼い頃別れた母親に認めて貰いたくてやった数々の行動について、たった一人味方になってくれた美月に対する感情について。起爆装置になっている携帯電話を操作した瞬間、携帯電話の呼び出し音が鳴る。

 第六章 伝道者
 森口悠子が修哉に語る。修哉のサイトを見て彼の動機と目的を知ったこと、その上で修哉の甘えを指摘する。…

 「4時間くらいで読めたよ、後味すごく悪かったけど」。友人の言葉です。
 …本当、後味すげー悪かったよ(笑)。
 自分の見たいことしか見ていない、自分に都合のいい解釈しかしない。不幸な生い立ちさえあれば何をしても許されるのか、そんなことは他人は情状酌量してくれるかもしれないけれど、自分で振りかざせば甘えでしかない。まして、それに巻き込まれた被害者から見れば。森口悠子の最後の選択は「思い知らせる」意味では確かに最も効果的でしたね、犯人は二人とも最も愛する人物を自らの手で殺した訳だから。
 最終章に出てくる「馬鹿ですか?」の言葉、きついなぁ。下手な罵り言葉よりきつい。これは私が関西人だからでしょうか、直截で真っ直ぐ胸に突き刺さる。何だか眉を顰めてしまうほど。…作者も関西在住と聞いているので、このニュアンスは狙ってやってるんでしょうね。
 とりあえず、愛美ちゃんが誰より可哀想でした。