読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

推定少女 桜庭一樹著 角川文庫 2008年

 初出は2004年ファミ通文庫から。初期に考案したエンディングも付け加えた改訂版。
 ネタばれになってるな、すみません;

 裏山にUFOが墜落した夜、「ぼく」巣籠カナ15歳は義父を矢で射て家出した。パトカーが走り回る中、隠れようと蓋を開けたダストシュートの中にいたのは、全裸の美少女だった。美少女は黒い大きな銃を持ち、記憶喪失を自称する。目覚める時には明らかに冷凍状態だった。少女にねだられるまま「白雪」と名前を付けたカナは、二人で逃亡劇を繰り広げる。
 できるだけ都会へと東京へ、白雪の持つ銃デザート・イーグルを知るためにと秋葉原へ。専門店で出会った少年・水前寺千晴の家に泊めて貰うが、彼女達の行く先々に黒服の男達が現れ、逃げ回っているうちにカナは補導されてしまう。
 子供の話を聞かない警察官、訳知り顔のソーシャルワーカー。誰もカナを自分の思う子供の枠に閉じ込めたいだけ。それは警察からの逃亡を手伝ってくれた評論家も一緒だった。拒絶したカナは評論家に襲われる。車の中で追い詰められたカナを救ったのは白雪だった。デザート・イーグルをぶっ放し、自らも後方へぶっ飛んで評論家をやっつけてくれた白雪。評論家は緑色の脳漿を撒き散らして死んでいた。以後、二人を追いかけて来る黒服の男達を、白雪とカナは銃で撃つ。男達は皆、緑色の液体を撒き散らす。
 誘拐された資産家の娘・綾小路麗々子、墜落した宇宙船に乗っていたケンタウロス第七星系の永久犯罪人、精神病院から逃げ出した寄生虫に脳を侵食されたAAクラスの狂人。千晴の携帯電話に無軌道に入って来る情報に振り回されながら、カナは白雪と逃げる。白雪が何者だっていいじゃない、一緒に冒険と言う名の放浪ができれば…。…

 ああ、懐かしい。まさしく、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』や『少女には向かない職業』の頃の桜庭さんだわ。
 ひりひりする焦燥感、大人に対する敵意、15歳の主人公しか持てない諦めや哀しさや行動力。私は大人に対してこんなにも不信感を持っていた覚えはないんですが、どうしてこんなざらつきに共感できるんだろう。
 角川文庫版として、エンディングが三種類収録されていました。…う~ん、読み比べてみると、やっぱりファミ通版『戦場』がいいかなぁ。義父を刺した原因がまるっきり「なかったこと」になってしまうのはどうだろう、と思いましたが、ドールで締めくくるラストは切なくて好き。『安全装置』はなかったことにしすぎ、日常に戻り過ぎの感が…; 『放浪』はいきなり宙に放り出された印象でしたし。
 …もしかしたら、私この頃の桜庭作品の方が好きかも知れないなぁ。ただ単にラノベ好き、ってだけかもしれませんが;