読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

アルスラーン戦記11 魔軍襲来  田中芳樹著  光文社カッパ・ノベルス  2005年

 『アルスラーン戦記』、6年ぶりに出た11巻目。

 ルシタニアの王弟ギスカールはボダン総大主教を殺し、マルヤム王国を掌中に治める。ルシタニア国自体も王を失って乱戦状態。ギスカールにルシタニアに戻り、国を治めて欲しいと言う声も上がっていたが、ギスカールにそのつもりはまるでない。それどころか、その要望を伝えに来た女騎士エステルやドン・リカルドをボダン殺害の犯人に仕立て上げる。襲撃がきっかけになりドン・リカルドの記憶喪失は治ったものの、エステルたちは行き場を失い、ザンデの元情婦、銀の腕輪を持つパリザードと共にパルス王国を目指す。
 パルス王国ハッラール神殿の地下から脱出したファランギースアルフリードギーヴは、領主ケルマインと相対する。蛇王ザッハークに魂を売ったケルマインはアルフリードに倒されたが、息子ナーマルドは有翼猿鬼となって、やはり銀の腕輪を持った見習い女神官・レイラと共に逃げる。
 王都でも有翼猿鬼が出没する中、北方の平原に偵察に出ていたジムサも、有翼猿鬼と変わり果てたトゥラーン親王イルテリシュに遭遇、幼い少女を助けて王都に帰還する。
 ミスル国のヒルメスはもう一人の銀の腕輪を持つ少女・フィトナと出会う。近々国王ホサイン三世の後宮に入る彼女は、ヒルメスに力を貸すと言う。その言葉通り、ヒルメスはミスル国南方軍都督に任命される。
 デマヴァント山地底に閉じ込められたクバード、トゥース、ジャスワント、イスファーン、メルレインたちは妖魔の襲撃を受けながら、五日半かかって洞窟を抜ける。さらに三日半かかってペシャワール城に辿り着き、休養する暇もあればこそ、魔軍の群れがペシャワール城を襲う。…

 角川文庫版は10巻きちんと持ってます、珍しく(笑)。
 カドカワに愛想尽かしたのか尽かされたのか、出版社変わってカッパノベルスで続きが出始めたことは勿論知ってたのですが、「どうせまた間あくんだろうなぁ」「すっかり忘れてるから、読むとなったら少なくとも8巻以降読み返さなきゃいけないし」とぐずぐずしていました。そしたら友人に発破かけられまして;
「読まないなら粗筋話そうか」
「それはイヤ(即答)」
 と言う訳で、私も遅まきながらアルスラーン再開。
 …忘れてましたね~。『魔軍襲来』の半分くらいまで読んで、「これはあかん」と一旦中止。やっぱり8巻から読み返す羽目になりました; 自分でも「ほぉ~」と思ったのは、登場人物は案外覚えていたこと。第一部7巻までの貯金はちゃんと効いてましたね。ただ、8巻以降のエピソードをごっそり忘れてて、
 「何故この人はここにいるんだろう…??」(←こらこら)
 王弟ギスカールマルヤム王国にいたりとか、ヒルメスがミスル国にいたりとか、ファランギース達が辺境(?)の神殿にいたりとか、クバード達がデマヴァント山の地下にいたりとか(←これは忘れるなよ;)。
 とにかく、エステル再登場。「アルスラーンの十六翼将」に入るんでしょうか、まだ貫禄足りないですけど。
 そして、ヒルメスに女ができました! しかもこれは、パルスの正当な王位継承者か!? 今度こそパルスの王座を狙うのか!? …いや、しないと思いますが。
 『アルスラーン戦記』と言えば登場人物の掛け合い漫才は勿論、戦術・戦略の面白さ、ばかしあいが見どころだと思ってるんですが、怪物が相手だとこっちの方はあまり期待できないかな、と思ったり。ただ、以前は浮いてた気がする怪物描写が妙にしっくり来るような…。『薬師寺涼子の事件簿』シリーズのおかげかしら(笑)。
 とにかく続きが出るのはめでたいことです。田中さん、順調に完結させて下さいね!