読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

麦酒アンタッチャブル 山之口洋著 祥伝社NON・NOVEL 2008年

 財務省酒税課に勤める根津は、映画『アンタッチャブル』にかぶれて官僚になった。目指したのはエリオット・ネス、アルマーニのスーツにソフト帽で身を固め、懐にモデルガンを忍ばせる。目的は酒税脱税の取締り、こっそりビールを自家醸造して楽しんでいる自ビール愛好家をお縄にしたい。
 警察庁からキャリア警官・魚崎次郎が出向して来たことから、根津の妄想に拍車がかかった。魚崎を連れて密造ビール愛好家の秘密パーティに乗り込み、囮捜査を敢行する。うかうか乗せられた魚崎は、個性溢れる様々なビールに魅了され、会場で購入させられた『自ビール入門キット』で自ら密造ビールに手を出す始末。根津に証拠写真を撮られ、婚約者・由紀恵の父親・仲間警視正まで巻き込んで、大立ち回りが始まった。
 勿論そんな勝手な行動を起こしてただで済む筈がない。根津と魚崎は仙台国税局に飛ばされる。根津は益々張り切って、新入局員・石倉を引き込み、自ビールパーティーの主催者・祝田酒盛を付け狙う。
 元々が岩手県在住の祝田は根津に感化されすっかり悪役気取り、自前のホームブリュワリーを「河骨庵(カポネ庵)」と名付けて気分はまるでロバート・デ・ニーロ。ビール好きの由紀恵を呼びつけて誘拐し、根津や魚崎、石倉をおびき寄せる。
 一体何を企んでいるのか、自分で罪を重くしてどうするのか。由紀恵の身代金は思いがけないものだった。…

 …勇気ある一冊だなぁ。
 作者、絶対密造酒に手を染めてるよなぁ(笑)。
 この作家さんも日本ファンタジーノベル大賞出身者。多分全作読んでいるんですが、何故か私、この人の作品には点数が辛い。これは多分、この人の作品が他の何かを連想させるから。で、そっちの方が断然面白いじゃん、と思ってしまうんですよね。今回連想したのは小林信彦赤川次郎の両名。でもこれは挿画が浅賀行雄さんであることが大きいかもな(苦笑;)。
 でもそんなこと気にしない、面白い物は面白い、と思える人には断然楽しい作品だと思います。私は根津の造形にはちょっと眉を潜めたけど。由紀恵の阿呆さ加減にも(笑)。
 酒税について凄くお勉強になります。ビールの作り方も分かるし、飲み比べもしたくなる。でも残念、私ビールみたいな苦い飲物は苦手なんだよな~。
 …あ、そうか、それが今回点が辛い理由かも(←完全に私情じゃん;)。