読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ラブコメ今昔 有川浩著 角川書店 2008年

 自衛隊にまつわる短編集第二弾。
 ネタばれあります、すみません;

『ラブコメ今昔』:
 習志野空挺部隊第一空挺団大隊長・今村和久二等陸佐は困っている。突っ走り系広報女性自衛官・矢部千尋二等陸尉が隊内紙『あづま』に、今村と妻との馴れ初めを載せるとしつこく取材しに来るから。同行しているカメラマン・吉敷一馬一曹に救いを求めるが知らん顔。そもそも今村が若かりし頃は、上官などの紹介で見合いというのが定説で…。
    …ほのぼのしたいい話。お漬物のエピソードも背広を選ぶエピソードも、若いのに少しおばさん
   入ってる奥さんがすごくいい感じ(笑)。それだけに最後の「有事の時」の夫婦・子供のあり方
   にはどきっとしました。
   ただねぇ、框で草履揃えられなくてじたばたしてる振袖姿の娘さんの、後ろ襟に指引っかけるのは
   どうだろう?? 私ゃ「後ろ襟」の場所を間違って覚えていたかしら、と母に確認してしまい
   ましたよ。そんな仔猫みたいに扱われたら着崩れするじゃん。好感持つかしら??
   そっと草履を揃えてくれた方が嬉しいと思うけど。

『軍事とオタクと彼』:
 出張中新幹線の中で釣り上げた、超可愛い年下の彼は海上自衛官遠距離恋愛もなんのその、でも彼はデートよりワンフェスを優先するオタクだった。弟のレクチャーを受けながら桜木歌穂は苦悩し決断する、よし、アニメ美少女抱き枕を持っていたってバッチこい!
 海外派遣に志願した彼が歌穂に頼んだのは、日曜朝の戦隊物と仮面ライダーの録画だった。…
    弟君、どの程度のレベルのオタクなんや!(笑)
    これ笑ったなぁ。学校の先生と自衛官にはオタクが多い、ってのは私も聞いたことあります(笑)。
    神戸でもワンフェスやってるんや~、規模はかなり小さそうですね。歌穂ちゃん、録るのは
    週間録画にしとけばいいと思うよ。
    海外派遣について、いざ行く人のことについては考えたことがありませんでした。何か無条件で
    みんな無事に帰って来ると思い込んでました。本当に何もなくてよかった。

『広報官、走る!』:
 防衛省海上幕僚監部監理部広報室・政屋征夫一等海尉、上官から「女ったらし」と呼ばれる男。その実、合コンではセッティング役に回るばかり、ここ数年彼女はいない。
 海自がドラマ撮影に協力することから知り合った鹿野汐里ADに一目で好感を持った政屋だが、何しろ時間にルーズなTV局と5分前行動を常とする自衛官、板挟みになった汐里が何かにつけディレクターから怒鳴り散らされているのを見るのが辛い。…
    そうか、自衛官、有事には張り切るんだ。

『青い衝撃』:
 相田公恵の夫・紘司はブルーインパルスパイロット、航空祭の後は女性ファンに囲まれてサイン会状態。そのうち、ショーに来る巻き髪の美女が、紘司のユニフォームの後ろ襟に思わせ振りなメッセージを忍ばせて来る。子供が産まれ、夫の転勤に付き合って整備の仕事も辞めてしまった公恵には、自分に自信が持てない。増えて行くメモに翻弄されて行く。…
    『母を訪ねて三千里』もそうですが、『フランダースの犬』も大人になってから見ると凄い物が
    ありました。最終回にかけて、ネロの逃げ先(?)が一つ一つ潰されて行くんですよ。
    …『世界名作劇場』(あの頃はカルピスか?)、侮り難し(笑)。

『秘め事』:
 明野駐屯地第十飛行隊に所属する手島岳彦二尉は、上官の娘・水田有季と付き合っている。元々有季の友達を紹介されたのに、意気投合したのは彼女だった。なかなか切り出せないまま二年が経過、二人を応援してくれていた同期の宮崎が墜落死する。

『ダンディ・ライオン~またはラブコメ今昔イマドキ編』:
 矢部千尋が吉敷一馬を知ったのは写真から。総合火力演習の写真で意識し、カメラ雑誌の投稿写真で惹かれた。朝霞駐屯地で彼を探し声を掛けるが、吉敷は動揺し、千尋にひどい言葉を投げつける。…
    …あ、また女の子泣いてる、男の人うろたえてる(苦笑;)。千尋ちゃん、あまり好感持てる
    女の子じゃないなぁ;。

 これ、装丁いいですね。短編一本ずつ本になってるのが小洒落てて。
 相変わらずすらすらとても読み易かったです。自衛官の皆さん、ちょっとかっこよく書かれすぎじゃないか?(笑)。
 有川さんって地の文と会話文、どちらにも同じ表現が入ることが多いな、とちょっと思いました。今まであまり気が付かなかったんですけどね。有川作品を結構続けざまに読んだからそのせいかな。