読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

夏から夏へ 佐藤多佳子著 集英社 2008年

 2007年世界陸上大阪大会、400メートル男子リレーを中心に据えたノンフィクション。
 何の気なしに「あ、佐藤さんの新刊出たんだ」と予約を入れたら、小説じゃないんですね。後になって新聞で紹介記事を見つけて気付きました。日本男子がオリンピック400mリレーで銅メダルを獲ったことも相まって、あれよあれよと人気図書に。
 二部で構成されています。前半は世界陸上での様子が佐藤さん目線とリレーメンバー四人――塚原直貴末續慎吾高平慎士、朝原宜治――目線と両方で描かれ、後半はその競技者自身や監督、コーチ、控えメンバーなどへのインタビュー模様が綴られます。
 もうね、泣きそうでした。…て言うか、泣いたし(笑)。この間のノーベル賞受賞の先生曰く「老人性涙腺軟化症」ってやつでしょうか、リレーシーンで泣き、リザーブ・メンバーの小島茂之へのインタビューで泣き。…みんな凄いわ。凄い人達だわ。当たり前ですが性格にしろ体型にしろそれぞれ違うのに、みんな理性的で理知的でクレバー。一番の年長者である朝原が作り出し、末續が引き継いだものなんでしょうか、その上何だか暖かい。自分に何が必要か、何が欠けているか判断して、自分の体をコントロールして作り上げて行ってる。安っぽい言葉だけれど、かっこいいとしか言いようがない。
 佐藤さんはご自分のことを「ミーハーで」と何度か表現するけれど、相手に対して敬意を持って取材されているのがありあり分かって、好感を持ちました。
 佐藤さん、北京オリンピックの模様も書かれないかなぁ。NHKでドキュメント番組になったりしていたけれど、佐藤さん目線でも読んでみたいです。