読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ピノッキオの冒険 コッローディ著/杉浦明平訳 岩波少年文庫 1958年

 イタリアでの出版は1880年

 大工のサクランボ親方はある日、テーブルの足にしようと思った木切れが泣いたり笑ったり、話しかけて来るのにびっくり仰天。偶然訪ねて来た喧嘩友達・ジェッペットに、その木切れをあげてしまいます。ジェッペットは丁度、操り人形を作って世界中を歩き回りたいと思っていた所でした。早速木を削り人形を作り始めますが、これがなかなかの腕白坊主。口ができればジェッペットを馬鹿にしてからかい、手を作ればジェッペットのかつらを取り、足を付け終ると鼻先を蹴っ飛ばします。駆け回って逃げ出した人形・ピノッキオをジェッペットは追いますが、反対に児童虐待で捕まってしまいます。
 家に帰ったピノッキオはものを言うコオロギにたしなめられますが、ピノッキオはそんな忠告を聞かないばかりか、木槌を投げつけて殺してしまいます。でも、夜が更けてお腹がすいてくるにつれ、ピノッキオは後悔します。コオロギの言うとおりだった、ジェッペットのいいつけを守っていればよかった。ひもじくて寒いまま火鉢の上に足を乗せて眠り込み、朝ジェッペットが帰ってみるとピノッキオの足は燃えてなくなっていました。
 ピノッキオが可愛いジェッペットは自分の朝食ナシ三個を残らずピノッキオにやってしまい、足ももう一度作ってやります。粗末な上着を売って教科書を買い、ピノッキオを学校に送り出しますが、ピノッキオは通学途中にあった人形芝居に惹かれ、入場料のために教科書を売ってしまいます。観客席のピノッキオを見て、人形たちは大騒ぎ。芝居はめちゃくちゃになり、人形芝居の親方は怒ります。ピノッキオを火にくべてしまおうとしますが泣きまわるピノッキオにほだされ、反対に金貨を5枚与えてジェッペットの元に帰るよう言います。
 今度こそ親孝行できる、と家路を急ぐピノッキオ。そこに足の悪いキツネと盲目のネコが現れ、金貨を500倍に増やす方法がある、と言います。金貨のなる木の育つ原っぱへ案内しようとするキツネとネコ。ピノッキオは二匹の後についていき、夕食代や宿代まで払った挙句、置いてきぼりにされた上、追剥に追われます。口の中に隠した金貨を手に入れるため、ピノッキオの口をこじ開けようとする追剥二人。とうとう叶わず、ピノッキオを木の上に吊るして去っていきます。
 ピノッキオを救ったのはルリ色の髪の仙女でした。介抱してくれた彼女に嘘を吐くとピノッキオの鼻が伸びます。いい子になります、と言うピノッキオに、仙女はジェッペットと共に三人で暮らすことを提案。喜んでジェッペットを迎えに行ったピノッキオでしたが、またキツネとネコに会い、騙されて金貨を奪われてしまいます。金貨を盗まれた、と裁判所に訴えるピノッキオ。でも何故かピノッキオが牢屋に入れられてしまい、4か月が過ぎます。
 漸く牢屋から出て仙女の元へ戻ろうとしたものの、大蛇に会ったり百姓に捕まったり。仙女の家に辿り着いてみれば、そこにあったのは仙女のお墓でした。ジェッペットもピノッキオを探すため小舟で海へ出た様子、ピノッキオの目の前で舟はひっくり返ってしまいます。
 ジェッペットを助けようと海へ飛び込むピノッキオ。でも力尽きて浜辺に打ち上げられます。
 辿り着いた町で水をくれた女性は、ルリ色の髪の仙女でした。今度こそいい子になる、とピノッキオは約束し、真面目に学校にも通います。悪い友達に騙され、漁師に捕まってフライにされかけたこともありました。でも仙女は、明日ピノッキオを人間にする、と言ってくれます。
 なのに、ピノッキオはまたしても悪い友達に唆され、しあわせの国行きの馬車に乗ってしまいます。勉強せず、毎日遊び呆けていい夢のような国。そこに5か月いた結果、ピノッキオはロバになってしまいました。
 ピノッキオはサーカスに売り飛ばされます。でもショーの最中に足を怪我して、今度はロバの皮を剥ぐ職人に売られてしまいます。
 毛皮を傷つけないよう溺れ死にさせられるロバのピノッキオ。でも小魚がロバの皮を食べてくれて、本当の姿を取り戻します。そのまま泳いで逃げましたが、フカに飲み込まれてしまいました。
 フカのお腹にはジェッペットがいました。フカが飲み込んだ難破船の積荷で、二年間生き延びていたのです。ピノッキオは喘息持ちのフカが夜口を開けて寝ていることに気付き、二人でこっそり逃げ出します。
 すっかり弱ってしまったジェッペットを養うため、ピノッキオは働き始めます。ようやく暮らし向きが楽になったころ、ルリ髪の仙女の小間使いに出会います。ルリ髪の仙女が病気だと聞き、ピノッキオは今までこつこつ貯めたお金を小間使いにあげてしまいます。
 そして次の日。ピノッキオは人間になっていました。…
 
 「ディズニー映画の原作を読んでみよう」第三弾。…って訳でもないのですが。
 最初の方は実はなかなか読み進めませんでした。だってピノッキオ本当に馬鹿なんだもの(爆!)。どう考えてもそれは違うよ、そんなことしちゃ駄目だよ、ってことを平気でする。飽きもせず失敗を繰り返して後悔する。それでも後半になると、ちゃんと物事に当たる前に迷うようになるので、読み易くなりました。少しは成長してるんだね。…それでも誘惑には負けるんですけどね。身につまされるなぁ(苦笑;)。
 訳者のあとがきによると、子供新聞に連載されていたものが好評で、何度も最終回を迎えながらも続きを書き続け、現在のお話になったんだとか。…何だかどこぞの週刊少年漫画雑誌のような…;
 行き当たりばったりのお話、矛盾点を訳者があとがきでいちいち取り上げているのがちょっと笑えました。…いや、そんな目くじら立てなくても(笑)。童話の類いなんかではこんなことは当たり前だし、そんな雰囲気がいかにもで楽しいけどなぁ。…って思うのは日本の週刊少年漫画に毒されているからかしら(笑)。
 このパソコン、「仙女」が変換できなくてちょっとショックでした。「仙女」って言葉、ないものなの…??