読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

狼と香辛料  支倉凍砂著/文倉十イラスト  メディアワークス電撃文庫  2006年

 第12回電撃小説大賞<銀賞>受賞作。
 ネタばればりばりしてます、すみません;

 行商人ロレンスは山奥の村で、テンの毛皮と寒さに強い麦を一束を買った帰り、パスロエの村を通りかかる。パスロエは麦が豊かに実る農地。この地を守る賢狼・ホロがいて、豊作を約束してくれると言う言い伝えがあった。季節は丁度収穫の時期、最後に刈り取った麦穂にホロが宿るとかで祭りの真っ最中。一週間も続く祭りにはとても付き合っていられない、と村を出て野宿をしていると、何か荷台で動くものがある。それは狼の耳と尻尾、鋭い犬歯を持った少女だった。彼女は自分を豊穣神・賢狼ホロだと名乗り、ロレンスの麦に宿って村を出て来た、あの村では自分はもう必要とされていないから、生まれ故郷の北の森に帰りたいと言う。
 半信半疑ながら一緒に旅をすることにしたロレンス。一夜の宿を借りた教会で、駆け出しの行商人ゼーレンと出会う。ロレンスはゼーレンに、近々とある銀貨が銀の含有率を増やすと言う情報がある、古い銀貨を買い占める投資をして一儲けしないか、と話を持ちかけられる。
 それは本当なのか、初見の自分に何故そんな話をするのか。港町パッツィオで馴染みの両替商ワイズに訊いてみたが、そんな噂は聞いたことがないと言う。ただ、銀貨の音を聞いたホロは、僅かずつだが銀の含有量が減って来ている、と告げる。
 銀貨を鋳潰すのは勿論御法度。銀の量が多い古い銀貨を集めて、何が儲かるのか分からない。だが、ホロの助言を受け、ロレンスは一つの大掛かりな可能性に気付く。
 それに対抗できるのは、一介の行商人の自分ではなく、もっと大きな組織だ。ロレンスは毛皮を買って貰った新進気鋭のミローネ商会にその話を売る。即ち、古い銀貨を集めて銀貨の発行元・トレニー国国王と交渉し、その銀貨を買い取らせ、商売上の特権を引き出せ、と。ミローネ商会は取引に乗ってくる。
 その夜、ロレンスとホロは襲われた。相手はメディオ商会、そもそも銀貨を集めようとゼーレンを雇っていた所。ロレンスは何とかミローネ商会に逃げ込むが、ホロはメディオ商会に捕まってしまう。
 おそらく、ホロの正体はバレている。ミローネ商会が手を引かなければ、悪魔憑きの娘として教会に売られてしまうだろう。ロレンスは勿論、悪魔憑きの娘と取引したミローネ商会も無事では済まない。損失無く切り抜けるには、先に王と契約を済ませてしまうこと。その権利を売る形で、メディオ商会と話を付けるしかないだろう。ロレンスの提案にミローネ商会も頷く。
 ミローネ商会の力を借りて、ホロを救い出すロレンス。王との交渉が終わるまで逃げ回る筈だったが、地下水道で追い詰められ、とうとうホロは本当の姿を現す。
 思わず怯えてしまうロレンス。それを見て、ホロはロレンスの前から去ろうとする。薄れ行く意識の中、ロレンスはホロを引き留めようと、必死で言葉を紡ぐ。…

 友人・祥さんから、ある日アニメを勧められました。「多分智ちゃん好きだと思うんやけど、見る?」「一応全話録ってあるから」。
 それがアニメ『狼と香辛料』。とりあえずその場で一・二話くらいかな、見せて貰いました。
 その世界での慣用句とか、よく考えられてるな、ってのが第一印象。商取引がメインと言うのも珍しいなと思いました。ただ、福山潤さんにあの主人公はちょっと早かったかな~、一生懸命声を老けさせてましたが(笑)。「インテリだけどどこか抜けてる」って造形は、福山さんお得意な所なんですけどね(笑)。
 そう言えばヒッポさんやたかむねさんも読んでらしたっけ、図書館にもあるみたいだし原作読んでみよう、ってんで予約入れて借りてみたのがこれ。
 面白かったです。そう言えばライトノベルファンタジーで経済史(商業史?)、ってあまり見ませんよね。そうか、こんな切り口があったか、と新鮮でした。もっとこう言う昔の商売のやり方とか知りたいなぁ、エピソード詰め込んで欲しかった。作者、経済学とかやってるのかしらと思いきや、物理専攻なんですね~。私は小学二年だか三年だったか、「てこと滑車」で物理は放棄した人間なので羨ましい(苦笑;)。
 食べ物の描写も多いですね、これからまた北へ向かって、各地旅をするんでしょうね。ホロ、かなり食い意地張ってるし、エンゲル係数大変だ(笑)。
 ただ、このイラストはどうなんでしょう。私この絵がなかったら、きっと違う情景やキャラクターを思い浮かべてたな。ちょっと縛られてしまった気がして仕方ありません。