読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

時の彼方の王冠  ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著/三辺律子訳 創元推理文庫 2005年

 〈デイルマーク王国史〉4作目。
 英国での初出は1993年。
 ネタばれあります、すみません;

 〈唯一の者〉の娘、クレディンデイルのノレスを殺せ――アベラス女伯爵の命を受け、親衛隊員ミットはアデンマウスに旅立った。が、偶然に途中でノレスに出会った彼は、彼女こそがデイルマーク全土を統べる真の女王になるべきだ、と感じる。ノレスは自分が正統な王であることを示そうと、隠された王冠を探す旅に出る。連れはミットと、ノレスの後見人エルトゥルーダの奥方の親衛隊員ネイヴィス、詩人のヘステファン、ヘステファンの弟子モリスと〈緑の道〉の案内人ウェンド。
 一方現代のデイルマークで、少女メイウェンは父が館長を務めるタンノレス宮殿を見学中、父の助手ウェンドにより二百年前の世界に送り込まれてしまう。その地で何故か彼女はノリスとなり、代わりに旅をすることに。
 旅の仲間の誰も、ノリスが実はメイウェンであることに気付かない。状況が掴めないながらも、彼女は歴史を必死に思い出し、200年後の知識を利用して人々の心を掴んでいく。ミットはノリスのためにアベラスの女伯爵の屋敷に戻り、王の指輪〈アドンの指輪〉を持ってくる。ネイヴィスの娘・ヒルディを迎えにガーデイルの法学校へ行き、礼拝堂にあったアドンの聖杯を手に入れる。ドロップスウェイトのウェンドの姉〈織り手〉センノレスを訪ね、アドンの剣を譲り受ける。だがメイウェンはセンノレスにノレスでないことを見抜かれ、そのためにウェンドは激怒し、行方をくらましてしまう。
 ウェンドがいないまま、〈緑の道〉をドロップウォーターへ。そこにはノリスの死を確認した法律家アルクが待ち構えていた。アルクはアベラス女伯爵の夫。真実を判別する聖杯を使って、皆の無実を証明する。ハナート伯爵の次男キアラン、ネイヴィスの息子イネンとも合流。だがノリスを女王とすることをよしとしない勢力も集まり、その場は戦争になってしまう。
 諍いの中、モリスがクィダーをかき鳴らす。しるべ石が異空間への扉となる。そこで新しい王に王冠を渡そうと待っていたのは、初代のデイルマーク王ハーンだった。ハーンはやって来た少年少女たちを試し、とうとうミットに王冠を譲る。
 王冠を携えて戻ってきたミットを見て、争いは静まって行く。ノレス殺害の犯人も突き止められる。だがその矢先、メイウェンはまた現代に飛ばされる。
 旅の間中メイウェンに囁きかけていた「誰か」カンクリーディンが、長い年月を経て再び世界に影響を与えようとしている。彼の言いなりにならず、ミットに王冠を与えたメイウェンを憎んで狙っている。ミットの「言葉」で対抗しようとしたメイウェンの眼の端に、見慣れた男の姿が映る。…

 ああ、これは確かに、四部作の初めから読み返した方がいいわ。懐かしい面々総出演の最終巻。忘れてる人もエピソードもあるだろうから、隅々まではきっと楽しめてない。
 それでも、覚えてる限りを持ってお話を追いかけるのは楽しかったです。ヒルディってあんなに性格悪かったっけ?(笑)。センノレスえらく貫禄出てるし、ウェンドは情けないし;
 ミットも〈不死なる者〉になったんだろうか。メイウェンを想って? それともカンクリーディンを滅ぼすまでは死ねないのかな。前向きに捕えている風なのがちょっと救いです。