読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

海がきこえるⅡ アイがあるから 氷室冴子著 徳間書店 1995年

 ジブリ制作で長編TVアニメにもなった『海がきこえる』の続編。

 高知から東京の大学に進学した杜崎拓。夏休み、初めての帰省で親友松野豊と仲直りし、クラス会に出席し、武藤里伽子とも会い、よさこい祭りにも参加。なかなか満足して東京のアパートに帰ってみると、自分の部屋で大学の先輩・津村知沙が寝ていた。
 パニックを起こしながらも、拓は知沙の彼氏・田坂浩一に連絡を取る。田坂は何とか知沙を連れて帰ってくれた様子。後日訊いてみると、知沙は以前不倫をしていた相手を思い切ることができず、相手の実家の近くまで行ってうろうろして結局会えないまま、腹立ち紛れに拓の部屋に行き、だが留守なので勝手に上がり込んでビールを飲んで寝てしまったとのこと。
 拓は里伽子にも振り回される。ご馳走してくれる、と言うのでプレゼント片手に行ってみると、父親の再婚相手との会食に付き合わされてしまったり。そのイタリアンレストランで偶然知沙と不倫相手との密会を見かけた里伽子は知沙に意地悪く八つ当たりし、知沙は拓に怒りをぶつける。
 知沙は相変わらず不倫相手に未練たらたら、拓を巻き込んで彼の奥さんのやるイラスト展を見に行き、彼とも会えたものの余計に自分で自分を傷つけている。
 「こっちから電話するまで連絡をよこすな」と言ってよこした里伽子からの電話は、真夜中にあった。父親の再婚相手が流産で倒れ、血まみれになって救急車で運ばれたと言う。怯える彼女を力づけ、拓は田坂の車で病院へ向かう。…

 氷室さんの作品で読んでないのは、多分『碧の迷宮』上巻とこの作品かな、と思って借りてきました。『ジャパネスク』シリーズも瑠璃姫が結婚してから後を何冊か読み逃してるかもしれないな。
 読み始めて思い出しました。…そうそう、この武藤里伽子って女の子があまり好きになれなかったんだよなぁ。
 なのにアニメになったらこの女の子が妙に微笑ましくて、「だめだよ、こんな女の子好きになったら後々大変だよ」と思わずにやにやしてしまったのを思い出しました。あのアニメ凄かったよなぁ、やっぱり制作者さんに里伽子への愛があったからかしら(笑)。主人公を飛田展夫さんが、松野豊を関俊彦さんが演じたんですよね。
 そして今回。やっぱり里伽子に好感持てなかったんだよなぁ(笑)。津村知沙を始めとする女性陣にも。嫌なこと、受け入れがたいことがあった時に周囲も巻き込んで攻撃に移る彼女たち。あれはやっぱり美人だから許されるワザですよね、拓にジャケットを見立ててあげた買い物好きの女の子の方がよっぽどいい子なんだけど。
 もうバブルは弾けた後の話の筈なんだけど、何だかその頃の香りがぷんぷんする。近藤勝也さんの挿絵もそんな雰囲気で懐かしい。
 気の強い女の子たちに振り回される男性陣。後書きによると里伽子は男性読者に人気があったそうなんですが。…そうか、これってもしかしてツンデレの走りだったのかも(笑)。