読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

お嬢様とは仮の姿! 喬林知著/松本テマリイラスト 角川ビーンズ文庫 2003年

 『マ王』シリーズ番外編。

 古の世、力を持ち勇敢な者達が、世界を滅ぼそうとした創主と闘った。彼等は多大な犠牲を払い、自らが忌み嫌われる存在となってまで、創主達を自力では抜けられぬ場所に封じた。その門の役目をするのが四つの箱。箱はそれぞれ異なる場所に収め、鍵は戒めとして一族の長が身に宿し、代々受け継がれていくこととなった。
 箱の名は「風の終わり」「地の果て」「鏡の水底」そして「凍土の劫火」。
 うち一つの鍵はローバルト・ベラールの左腕。シマロンの軍隊を率いたイングラルに城を襲われ、妻と幼い子供を喪い、切り落とされた腕と絶望と共に湖に身を投げる。だが彼が辿り着いたのは冷たい湖底ではなく「地球」だった。
 お嬢様とは仮の姿、エイプリル・グレイブスはトレジャーハンター。祖母から受け継いだのは誇り高き職業と豊富な人脈と、何の変哲もない木箱。1938年、ユダヤオーストリア人エーディット・バープの依頼を受けて、ナチスに奪われたその木箱を取り戻すべくベルリンに向かう。強大な力を持つその木箱を、本来の持ち主ヘイゼル・グレイブスに、引いてはエイプリル・グレイブスに返すために、どこか見つからない場所に葬り去ってしまうために。
 同行者はアジア系アメリカ人で空飛ぶものなら何でもござれのDTとフランス人医師アンリ・レジャン、スポンサーに「魔王」ボブ。ボストンでエイプリルたちを襲ったナチスのSS親衛隊将校リヒャルト・デューターを見かけて、エイプリルは後を追う。リヒャルトは旧博物館から、自分の先祖のものだと言う左腕を奪っていた。
 箱に刻まれた文字「清らかなる水」をヒントに、ナチス軍は箱をアールバイラーに持って行ったらしい。後を追うエイプリルは、フランクフルト行きの列車の中でまたしてもリヒャルトと会う。エイプリルが仲間たちとはぐれてしまったこともあって、結局行動を共にする二人。アポリナリスの泉の水を鍵と見なして箱を開けようとする陸軍から箱を奪う。合流したDT、レジャンと、ボーデン湖に箱を沈める。
 1980年代、グレイブス博物館に、一人の青年が現れた。エイプリルの孫娘クリスタルに、「鍵」を持ち出すよう依頼する。…

 シリーズ中、この作品だけ読んでいなかったので借りてみました。今読んだのはある意味正解だったかも。『砂マ』や『箱マ』のエピソードとかなりリンクしてましたね。おしとやかなダイアンとこの執事の息子が駆け落ちしたのか。
 でも全てが解決した訳ではない。どうやってコンラッドの腕がついたのかも結局分からないままだし。
 この人の脱線しまくる文章は、今回ちょっとわずらわしかったです。こんなに読みにくい文章書く人だったけ、とか思ってしまった。軽口叩きながら危機を乗り越える、ってパターンがあまり生きてなかった気がする。
 まだこの世界に存在しない子供の血、ってのはユーリのことなんでしょうか。後々どう繋がってくるのか楽しみです。