読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

大鷲の誓い~デルフィニア戦記外伝 茅田砂胡著 中央公論新社 2006年

 デルフィニア国騎士団対抗試合にて、ラモナ騎士団代表ナシアス・ジャンペールが勝者になった。年頃は16,7。叙勲もされていない線の細い若者に、ティレドン騎士団の少年が勝負を挑んでくる。13,4歳の、見習い騎士のくせに妙に態度の大きいこの少年の名はグラスメア卿ノラ・バルロ。名門サヴォア公爵の跡取り息子で、母親は賢王と名高い現王ドゥルーワ・ジエンタ・ヴァン・デルフィンの妹。国王の甥、未来のサヴォア卿に本気で稽古をつける相手はいなかった。それだけに手加減なく相手をするナシアスの態度を、バルロは新鮮に感じる。
 首都コーラルにいる間、頻繁にバルロはナシアスを呼び出し、剣の相手を頼む。バルロの大貴族としての「常識」に驚くナシアス。父親の愛人が恋の手解きをしていたり、おもねる取巻きがいたり。バルロの母親にまで呼び出され、賢婦人として名高い彼女の裏の顔を知り、仲違いしかけたバルロの葛藤を知る。
 やがて、ドゥルーワ王が崩御する。放蕩息子と名高いレオン王子が立つが、戴冠式を目前に落馬して死ぬ。第二王位継承者まだ幼いエリアス王子は病死、その姉・ルフィア王女も死に、エヴェナ王女も倒れた。
 この混乱に、西国パラストが動く。対峙したのは元々国境を守っていたラモナ騎士団と援軍として駆けつけたティレドン騎士団。慎重なラモナ騎士団に対し、勇猛果敢なティレドン騎士団は敵地の奥深くに入りすぎ、バルロは多くの臣下を亡くす。団長の命令を振り切ってバルロを救出に向かったのはナシアス。命令違反で咎められるナシアスを、決して死なせはしない、とバルロは誓う。…

 デルフィニア戦記外伝、ナシアスとバルロの出会いを描いた作品。
 …バルロ、ぼんぼんやったんや…。若い頃のバルロは結構自分勝手な嫌な奴(笑)。ナシアスが微妙に教育を施し、軌道修正していってます。
 本編終了から8年ぶりの外伝って、いまだ人気衰えずなんですね。まぁシリーズは違う形を取って続いているのも同じなので、そんなに違和感はないのかな。相変わらず、理想を形にしたような登場人物、読み易い文章。デルフィニア国のその後が少し読めたのは嬉しかったです。