読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

狐笛のかなた 上橋菜穂子著 理論社 2003年

 ネタばれになるのかな、多分なるな、すみません;

 初めて人を殺した夜、霊狐・野火は刀傷を受けて猟犬から逃げていた。そして人の〈思い〉を感じることのできる少女・小夜と、森陰屋敷に閉じ込められたまま暮らしている少年・小春丸に助けられる。
 数年後、春名ノ国領主・春望の総領息子が落馬して死んだ。今まで呪者から守るため人目を避けて育てられた小春丸に、表舞台が用意される。
 春名ノ国を狙う湯来ノ国領主・盛惟、盛惟の呪者で小春丸に術をかける久那、久那に使われる霊狐・野火たち。
 〈とりあげ女〉だった祖母を亡くした小夜は、年越しの市で春望の呪者・大朗と鈴の兄妹に出会い、すぐれた〈聞き耳〉の持ち主であった母・花乃の死に様を知る。二人に会い、小春丸を救いたいと思ったことから自らも狙われることになった小夜。主に逆らい、小夜を助ける野火。小春丸の術は完全には解けず、野火は命を懸けて小春丸の目を覚ます。小夜は野火を呪縛から解き放つため、久那の持つ狐笛を手に入れようとする。瀕死の野火を救うため、小夜は狐笛に息を吹き込む。…

 何だか荻原規子さんぽい。上橋さんが和風の、恋愛がらみの話を書くとこう言う風になるんだなぁ。
 「お、三角関係か、わくわく」と思ってたら、小夜の出生の秘密が分かった時点で「…相手は野火だな」(笑)。…いや、不満があるわけではないんですが、報われない恋にひっそりと泣く野火、ってのもいいよな、と思ったもので。勿論、作品自体楽しみました。
 食べ物や飲み物に言及する辺りが上橋さんの面目躍如(笑)。
 憎しみあう二つの種族が和解するまで…って所はこの間読んだ『黄金の王白銀の王』もそうだったんですが、随分雰囲気違ったなぁ。個性個性。