読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

木洩れ日に泳ぐ魚 恩田陸著 中央公論新社 2007年

 ネタばれあります、すみません;

 今まさに別れようとしている男女。引越しの支度も済んだがらんとした部屋で、酒を飲みながら「あの時」のことを話し始める。S山地をトレッキングしたあの時、ガイドについてくれた男はどうして死んでしまったのか。
 男・高橋千浩は女・藤本千明が男を殺したと思っていた。千明は千浩が男を殺したと思っていた。男は二人の父親だったから。
 千浩と千明は二卵性の双子だった。千明が幼い頃養子に出されたため、二人が出会ったのは大学生になってからだった。何も知らないまま、惹かれあう二人。きょうだいだと分かってからは、空白の時間を埋めるように同居生活を始める。楽しい生活はやがて、自分の恋愛感情を自覚したとき崩壊した。
 トレッキングの時の行動、幼い頃の思い出。二人の記憶を擦り合わせて行くうち、千明は意外な真相に気付く。そして、自分の想いが醒めてしまったことにも。…

 これも舞台劇みたいな雰囲気。恩田さんこのごろこう言う作品多いなぁ。…違うか、『木曜組曲』や『ネバーランド』も閉鎖空間の話だったか。
 恩田さんに珍しい恋愛沙汰、別れ話。男は逃げて、女は開き直る。障害がなくなって恋が醒めたのは千明にとってはよかったような…。でも千浩は今の彼女とも別れるなぁ。
 とにかく今回はオチがついてますから!(笑) ああ、よかった(笑)。