読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

最愛 真保裕一著 新潮社 2007年

 ネタばれあります、すみません;

 小児科医の押村悟郎に警視庁から連絡が入った。18年間音信不通だった姉・千賀子が金融会社の事務所で銃に撃たれた上、火事に巻き込まれて意識不明の重態だと言う。慌てて病院に駆けつける悟郎。だが、事件前日姉と婚姻届を出したばかりだと言う新郎・伊吹正典は姿を見せない。伊吹は14年前、妻を殺した前科者だった。
 悟郎と千賀子は小さい頃両親を事故で喪い、伯父・伯母家族に別々に引き取られて育った。真っ直ぐで激しい気性の千賀子は伯母家族と折り合いが悪く、17歳で家を飛び出していた。以来、姉は何をして暮らし、どうやって伊吹と知り合い、何故そんな事件現場にいたのか。
 千賀子のアパートに8枚の年賀状を見つけ、悟郎は差出人を一人ひとり訪ねていく。職場の後輩、夜のアルバイトの同僚、偶然再会した小学校の時の同級生、昔の恋人、行きつけの美容院。伊吹の母親の家や元の職場にまで足を運び、昔のままの姉、勝ち気で向こう見ずで正義感の強い、でも男運のよくない姉の姿を確認する。そんな千賀子に強く惹かれ、つきまとっていた小田切と言う刑事の存在も。
 病院へ現れない伊吹に対する印象は徐々に変わって行く。誰かを待つように千賀子の容態は悪いながらも安定している。悟郎は伊吹を探して走り回り、やがて悟郎自身の犯した罪、姉との途絶の理由も明らかになる。…

 オビの惹句「慟哭の長編恋愛小説」…ではない気がするんだけど。
 何か今いち入り込めませんでした。特に最初、何だか視点が定まらない感じで、振り返ると「このエピソード要ったのかなぁ」と思う所もあったりして。悟郎が辿り着いた結論もちょっと強引な気がしたし。あまりにも激しいお姉さんの気性や生き方に、ちょっと感情移入しにくかったせいもあるかなぁ。でも小田切刑事より伊吹さんを選んだのはすごくよく解るぞ(笑)。
 最後の悟郎の行動もどうだろう。そのままでもお姉さん、長くはなかったでしょうに。
 余談ですが、当初の記述「オダギリ」と言うカタカナ表記に、連想したのは「オダギリジョー」。漢字で「小田切充」と名前が出てから思い出したのが、漫画『闇のパープルアイ』の「小田切貢」。…いや、どっちも全然キャラクター違うから!と自分に突っ込んでました。…今だに「小田切」と言えば黒ヒョウの彼なのか、私…?;;