株式会社アクト・ファイナンシャル常務取締役・水月総一郎が爆死した。早朝、勤め先の赤坂フォルクスビルの地下駐車場ごとトバされた。使用された爆薬セムテックスから、11年前の神泉教地下鉄テロ事件の残党の仕業か、いや在日北朝鮮工作員の犯行ではないか、と憶測が飛ぶ。だがその実は、防衛庁情報本部(ダイス)の非公開特殊部隊元メンバーが引き起こした謀反劇だった。
2000年、韓国の太陽政策を受けてひと時統合に向かったかに見えた南北朝鮮。とある北朝鮮高官が日本に残してきた恋人と子供を捜している、と言う情報を得た政府はその孫娘をでっちあげ、潜入工作員として北に送り込む作戦を立てる。『オペレーションLP(リトルプリンセス=小公女)』の主役に選ばれたのは堀部三佳。存在自体が途中で瓦解してしまった攻撃ヘリ部隊FSMで、養成課程の途上にあったパイロット候補。辿るであろう苛酷な道行も肯定的に受け入れ、パイプではなく架け橋になりたい、50年続いた平和国家を土壌とした“新しい言葉”を語りたい、と希望を持つ少女。周りを固める入江一功を初めとする若手ダイスの面々は、新潟の町工場で共同生活を送るうち、この作られた平穏を居心地よく感じるようになる。
だが、9.11以降風向きが変わる。北の対米交渉を前提にした日本との首脳会談、オペレーションLPの中止。だが韓国巨大財閥とのコネクションを手に入れたかった作戦幕僚の三人は、現場にはこのことを伝えなかった。結果、堀部三佳の存在が知られた。万事に弱腰の上層部は計画を続行するつもりはさらさらなく、三佳を消しにかかる。
三佳を連れ、他のメンバーと共に亡命を計る一功。だが、訓練生時代からの盟友・丹原朋希は置き去りにされる。三佳に通常以上の感情を抱いていたこと、故に彼女を駒として扱えないことを見抜かれての措置だった。結局朋希は上層部の手に落ち、彼の告解から三佳は殺されてしまう。
4年半後、重すぎる後悔を胸に、朋希は一功と相対する。一功は、三佳を殺したのはこの国自体の体質だ、とテロ集団「ローズダスト」を名乗り、復讐を兼ねたテロ行為を開始する。己の欲得のために現場を裏切った三人の残り二人、烏丸誠二と服部謙一を爆殺し、三液混合式の超高性能爆薬TPexを手に入れる。
あまりにも危うい朋希の姿に眉をひそめる公安の窓際族・並河次郎。並河の娘・恵美に三佳の姿をだぶらせる朋希。TPexを開発したアクトグループ会長・若杉直純を一功たちのスポンサーだと見切った朋希は、単身アクトグループ本社ビルに乗り込むが捕えられ、反対にテログループの一員として処理されかける。彼を救ったのは並河と、オペレーションLPの後始末で朋希を「落とした」羽住克広だった。
一功たちはいよいよ計画を実行に移す。戦後自分たちで考えることを止めてしまった日本の状況をぶち壊そうと、お台場にTPexを走らせる。
狙撃のエキスパート真野留美、機械工作に秀でる勝良義和、コンピュータを専門とする倉下充、メンバーの親父的存在で爆破工作に詳しい山辺俊作、全てに優秀なリーダー入江一功。体質として連携を嫌がる警察庁、防衛庁や保身を図る上層部に足を引っ張られながら、朋希が、羽住が、並河が爆発を阻止しようと人工島を走る。…
2000年、韓国の太陽政策を受けてひと時統合に向かったかに見えた南北朝鮮。とある北朝鮮高官が日本に残してきた恋人と子供を捜している、と言う情報を得た政府はその孫娘をでっちあげ、潜入工作員として北に送り込む作戦を立てる。『オペレーションLP(リトルプリンセス=小公女)』の主役に選ばれたのは堀部三佳。存在自体が途中で瓦解してしまった攻撃ヘリ部隊FSMで、養成課程の途上にあったパイロット候補。辿るであろう苛酷な道行も肯定的に受け入れ、パイプではなく架け橋になりたい、50年続いた平和国家を土壌とした“新しい言葉”を語りたい、と希望を持つ少女。周りを固める入江一功を初めとする若手ダイスの面々は、新潟の町工場で共同生活を送るうち、この作られた平穏を居心地よく感じるようになる。
だが、9.11以降風向きが変わる。北の対米交渉を前提にした日本との首脳会談、オペレーションLPの中止。だが韓国巨大財閥とのコネクションを手に入れたかった作戦幕僚の三人は、現場にはこのことを伝えなかった。結果、堀部三佳の存在が知られた。万事に弱腰の上層部は計画を続行するつもりはさらさらなく、三佳を消しにかかる。
三佳を連れ、他のメンバーと共に亡命を計る一功。だが、訓練生時代からの盟友・丹原朋希は置き去りにされる。三佳に通常以上の感情を抱いていたこと、故に彼女を駒として扱えないことを見抜かれての措置だった。結局朋希は上層部の手に落ち、彼の告解から三佳は殺されてしまう。
4年半後、重すぎる後悔を胸に、朋希は一功と相対する。一功は、三佳を殺したのはこの国自体の体質だ、とテロ集団「ローズダスト」を名乗り、復讐を兼ねたテロ行為を開始する。己の欲得のために現場を裏切った三人の残り二人、烏丸誠二と服部謙一を爆殺し、三液混合式の超高性能爆薬TPexを手に入れる。
あまりにも危うい朋希の姿に眉をひそめる公安の窓際族・並河次郎。並河の娘・恵美に三佳の姿をだぶらせる朋希。TPexを開発したアクトグループ会長・若杉直純を一功たちのスポンサーだと見切った朋希は、単身アクトグループ本社ビルに乗り込むが捕えられ、反対にテログループの一員として処理されかける。彼を救ったのは並河と、オペレーションLPの後始末で朋希を「落とした」羽住克広だった。
一功たちはいよいよ計画を実行に移す。戦後自分たちで考えることを止めてしまった日本の状況をぶち壊そうと、お台場にTPexを走らせる。
狙撃のエキスパート真野留美、機械工作に秀でる勝良義和、コンピュータを専門とする倉下充、メンバーの親父的存在で爆破工作に詳しい山辺俊作、全てに優秀なリーダー入江一功。体質として連携を嫌がる警察庁、防衛庁や保身を図る上層部に足を引っ張られながら、朋希が、羽住が、並河が爆発を阻止しようと人工島を走る。…
読む前に、「えいやっ」と気合いのいる作家さんがいます。福井晴敏作品は私にとってまさにそれ。読めば面白いのは分かってるんですけどね。この作品も図書館の書架の前を行きつ戻りつ、「…でもな~」とブラックマヨネーズのネタのようなことを繰り返し(笑)。
…やっぱり長かった。
でも、福井さんの作品はある程度の長さはいるんですよね、状況説明が多いから。映像なら一瞬のことでも文章にすれば何ページもかかる。『戦国自衛隊1549』くらいの長さでは人物描写まで手が回らない。泣かせようと思ったらキャラクターの書き込みも必要で、で、今回泣かせて頂きました(笑)。ローズダストの面々が倒れて行く場面は、久々、電車の中で泣きそうでした(笑)。朋希と五匹の子犬との脱出シーンも来たなぁ。留美の「男を見る目」なんてのはまさしくその通りだよ、惚れた女で男の真価もわかるんだよ。
今回はギャグも入りましたね、朋希が恵美ちゃんに押し切られたり並河さんに睨まれて怯えたりするシーンなんか可愛くて可笑しい(笑)。
あと、腐女子の皆さんも読むの楽しいかも(笑)。朋希と一功の観覧車デート(笑)とか最後の一騎打ちとか。羽住とにしろ並河さんにしろ、妄想入りまくりだろうな、と腐女子度の低い私でさえ思いました。
真剣にこの国を憂いている人がいる。安易な武装化に疑問を投げかけ、平和と言うぬるま湯を享受してきた自分たちにこそできることがあるのではないか、と問いかける。まだ見つからないけど、諦めてはいけない。
…でも長かったけどね(苦笑;)。
…やっぱり長かった。
でも、福井さんの作品はある程度の長さはいるんですよね、状況説明が多いから。映像なら一瞬のことでも文章にすれば何ページもかかる。『戦国自衛隊1549』くらいの長さでは人物描写まで手が回らない。泣かせようと思ったらキャラクターの書き込みも必要で、で、今回泣かせて頂きました(笑)。ローズダストの面々が倒れて行く場面は、久々、電車の中で泣きそうでした(笑)。朋希と五匹の子犬との脱出シーンも来たなぁ。留美の「男を見る目」なんてのはまさしくその通りだよ、惚れた女で男の真価もわかるんだよ。
今回はギャグも入りましたね、朋希が恵美ちゃんに押し切られたり並河さんに睨まれて怯えたりするシーンなんか可愛くて可笑しい(笑)。
あと、腐女子の皆さんも読むの楽しいかも(笑)。朋希と一功の観覧車デート(笑)とか最後の一騎打ちとか。羽住とにしろ並河さんにしろ、妄想入りまくりだろうな、と腐女子度の低い私でさえ思いました。
真剣にこの国を憂いている人がいる。安易な武装化に疑問を投げかけ、平和と言うぬるま湯を享受してきた自分たちにこそできることがあるのではないか、と問いかける。まだ見つからないけど、諦めてはいけない。
…でも長かったけどね(苦笑;)。