読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

透明人間の納屋 島田荘司著 講談社ミステリーランド 2003年

 昭和52年、あの時「ぼく」は9歳だった。水商売をして生計を立てる母との二人暮らしの中、隣の印刷工場の真鍋さんは何かとぼくに親切にしてくれた。流星を見に連れて行ってくれたり、地球について教えてくれたり、宇宙から来た透明人間について話してくれたり。真鍋さんの家の納屋にある機械は、透明人間になる薬を作るものだと言う。
 やがて、母と同じクラブで働く辛島真由美が忽然と姿を消した。婚約者と崖上のホテルにいた筈なのに、婚約者が眠っている間にいなくなってしまった。服も靴も部屋に残したまま、部屋の前にいた従業員は、真由美が出てくる所は全く見なかったと言う。数日後、彼女の死体が海に浮かんだ。どうやってホテルから出たのかは依然不明のまま。
 何年か後に彼女を殺した犯人は捕まったが、やはり部屋から出た方法はわからない。
 本当に「透明人間になる薬」はあるのか、真由美はそれを飲んで姿を消したのか。
 真鍋さんは一緒に外国へ行こう、とぼくと母を誘う。だが、ぼくはそれを拒否する。一人で外国へ渡る真鍋さん。事件の真相は26年後、彼からの手紙でようやく判明する。…

 そう言えば、御大・島田先生のミステリーランド作品は読んでなかったな、と借りてみました。
 …これ、子供向けかなぁ。「理想郷」をうたう真鍋さんの言葉に、読みながら眉を顰めてたのですが、やっぱりあの国のことだったんですね。密室トリックは相変わらずの力技でした、さすが島田先生(笑)。
 題材的にはどうだろうと思いつつ、とても切ない話でした。…しかし、この挿絵怖いなぁ。