読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

天才柳沢教授の生活 19~24巻  山下和美著  講談社モーニングKC

 19巻は、50年前一度映画に出たきりその世界から引退してしまった俳優と教授の交流を描いた短編『エデンから来た男』を収録。それから24巻までずっと『昭和20年編』が続きます。

 終戦後、焼け野原を見下ろす小高い丘の上に建つ不思議な屋敷・貝塚邸。GHQの接収から逃れるため戦災孤児を集めて、そこで学校を始める。
 今までの価値観がひっくり返ってしまった混乱の中、ひょんなことからそこでの先生を引き受けてしまった若き日の柳沢教授。個性的な子供たちに興味を惹かれ、共に学び、闇市で商売まで始めたり。
 GHQのアレン中佐は貝塚邸に異様に固執する。闇市を仕切るヤクザ者と手を組んでまで屋敷を手に入れようとするアレン。それは彼の父親ルドルフ・アグリコーラと貝塚邸の設計者・貝塚峯太郎との確執を、母親から聞かされて育った故のこだわりだった。クリスマスイブの日、子供達の一人が屋敷の裏山に火を放つ。柳沢や子供たち、貝塚邸の現当主・貝塚徳子や嫁の町子、GHQとも力を合わせて火を消した翌日、それでも屋敷を自分の手で壊すと言うアレンに、徳子はそれまで開かずの部屋だった一室に、アレンを案内する。…

 そう言えば昭和20年編は読みきってなかったな、と借りてきました。
 ルドルフ・アグリコーラの、峯太郎と共に遊ぶように生涯一の傑作・貝塚邸を創りながら、それでも「私の生涯における最高傑作はお前だ」と書き残した手紙に、やっぱり泣きそうになってしまいました。もっと前にこの言葉をかけてあげられたらよかったのにね。
 この長編、どこまで話を決めて描いてたんでしょう。着地、巧いなぁ。