読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

彩雲国物語~緑風は刃のごとく 雪乃紗衣著/由羅カイリイラスト 角川ビーンズ文庫 2006年

 『彩雲国』シリーズ第10弾、12冊目。
  変わらずまいさんからお借りしました、まいさんどうもありがとう♪
 
 冗官に落とされた秀麗。一ヶ月以内に仕官先を見つけなければクビ、と解雇宣告されてしまった。人のことなど構っていられない筈だろう、との榛蘇芳の忠告を聞きながらも、秀麗は他のぼんぼん冗官を無視できず、あれこれ世話を焼いてやる。立ち居振る舞いや習字に問題がある庶民出身者には礼儀指南、やる気のない貴族出身者には悩み相談に乗った上での進路指導。自分の進路は吏部なり戸部なり、コネを使おうと決意した矢先、御史台長官・葵皇毅から「自分だけ楽な道を選ぶのか」と言われてしまう。秀麗は丁度市井で売られていた塩の質が悪くなっていたことに気付き、そちらの方で手柄を立てようとする。
 やはり冗官に左遷されていた陸清雅と共に動き、上申書を作成する秀麗。清雅は何事にもゆとりを持って対峙する、今まで秀麗の周りにはいなかったタイプで、そこが秀麗には少々羨ましい。
 蘇芳と牢獄に入っているその父親、前回から引き続く偽金騒動。大金を動かして、裏で何が起こっているのか。
 一方、劉輝の元からは楸瑛・絳攸が去り、縹璃桜が新仙洞令君として赴任する。…

 …こう来たか…! 
 秀麗の「いい子」っぷりは少々鼻に付く所でもあったのですが、本編内でそれを嫌う人間を出すとは思わなかった。しかも、香鈴が盗賊に襲われなかった段階で「あ、このシリーズでは出さないんだな」と思っていた性的な暴力を、多少臭わすような表現もある。理想を目指すのもいいけれど、それが上手く行かなかった時のフォローを考える人間も出てきたし、なるほど、新展開ですね。国試官吏との諍いから貴族間での勢力争いへ、「異能力」に多少傾いていた前回までの軌道も修正してるのは見事。…でもここまでやると、本当にいばらの道になりかねないんですが、大丈夫なのかな。劉輝には藍家からどうもお嫁さんが来そうだし。
 …しかし、本当、人の死なない話だなぁ。