読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

きみときみの自転車 沢村凛著 学習研究社エンタティーン倶楽部 2006年

 『ぼくがぼくになるまで』続編。
 ネタばれ、まではしてませんが、かなり後半まで粗筋書いてます、すみません;

 「ぼく」相原一史は春休み、おばあちゃんの家に来た。誰もぼくを知らないこの町で、ぼくは青い自転車に乗る練習をしている女の子を見かける。仲間と大騒ぎしながら練習する「きみ」。なかなか上手く乗れなくて、きみはついこの間近所でおこった「ウサギが自転車に撥ねられた事件」を引き合いに出し、「こんな危ない乗り物には乗れなくていい」と癇癪を起こして駆け去ってしまう。後を追いかける仲間たち。残された青い自転車を、ぼくはそっと立て直す。
 次の日、ぼくの家にきみたちが押し掛けて来た。昨日の青い自転車が、そのまま無くなってしまったらしい。ぼくが自転車を盗んだ、と決め付けるきみ。ぼくは口惜しくなって、ぼくが自転車泥棒を見つけてやる、と言い切ってしまう。
 思い込んで突っ走るタイプの女の子「きみ」ルリさんやカオルさんと違って、思慮深いタイプの男の子・天地充雄くんが協力を申し出てくれた。ぼくと二人で聞き込みをし、コンビニの前に自転車が停めてあったと言う目撃証言を得る。ただ、乗って来た人物と乗って行った人物は別人らしい。
 さらに聞き込みをするぼくたち。何とかその人物・小学生と中学生の男の子を突き止めるが、結局自転車は見つからないまま。乗り捨てたと証言された場所は、この間から何台も自転車が盗まれていたプール裏だった。ぼくたちはカオルさんの自転車をおとりに、犯人を見つけようと張り込む。
 意地っ張りのカオルに押されっ放しの弟ミノル、ルリの義理の弟おとなしい直斗。ひとの話をきちんと聞いてくれる天地くん、事故以来自転車に乗れなくなってしまったぼく、そして情緒もあまり理解できなくて、でもその分真っ直ぐなきみ。事件を通じて、ぼくは自分の内面を見つめなおす。ぼくはどうして、自転車に乗れなくなってしまったんだろう。…

 続編と言いながら、ちゃんとこの作品だけで楽しめる作り。こういうのは個人的に、とても好感が持てます。
 読みやすくて面白かった。自転車が盗まれる理由とかはちょっと疑問もありましたが、でもこれだけすらすら読めたらいい。自分の心の問題だけじゃなくて、自分の周りの人の反応がぼくの心を留めていた原因にに気付く。ちょっと不思議を残したラスト。
 イラストは変わらず岩崎つばささんでした。やっぱり嬉しい(笑)。