読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

虚空の旅人 上橋菜穂子著/佐竹美保画 偕成社ワンダーランド 2001年

 「守り人」シリーズ番外編。
 
 新ヨゴ皇国の皇太子・チャグムは、海辺の国サンガル王国の〈新王即位ノ儀〉に招かれた。
サンガル王国は元々が海賊の集団から発展した国。大小の島々を領地とする、利に敏く大らかな人々の集まり。近隣国の王族を招いての宴の最中、〈ナユーグル・ライタの目〉にされた子供が現れる。海の底にあるという別の国・ナユーグルに魂を奪われた少女・エーシャナ。彼女の体は、サンガル王国を狙う南の大国・タルシュ帝国の呪術師に利用されてしまう。
 エーシャナを案じるサンガル国王の次男・タルサンは操られ、兄・カルナン王子を殺しかける。タルサンの闊達な人柄を好ましく思っていたチャグムは、何とかタルサンを助けたい。かつての自分の境遇と似ているエーシャナも。
 反対する星読博士・シュガ、弟・タルサンを助けたいサルーナ王女。どこの国にも属さず自由に生きる海人ラッシャローの少女・スリナァは、タルシュ帝国の陰謀を知り、危険を知らせるためサンガル王国へ家船を走らせる。その頃タルシュ帝国にそそのかされた島人は、サンガル国王とカルナン王子を暗殺しようと画策していた。
 他国の呪詛と陰謀に巻き込まれるチャグム。今はもう亡いヨゴ皇国の生き残り・呪者ラスグはタルシュ帝国に忠誠を誓う。サンガル王国を第一に考え、そのための犠牲も厭わない第一王女・カリーナ。チャグムは魂を飛ばし、エーシャナを救おうとする。…
 
 あれ、何かまた読み辛くなっちゃったかな? 新しい国、新しい言葉、やっぱり大変(笑)。
 人を駒として画策をめぐらせ、それを楽しむ風でもあったチャグム。実際に倒れる人々を見て、命の重さを思い知り、自分が目指す国をはっきりと見定める。大きな話の流れとしては納得できる形でした。連想したのは『エンダーのゲーム』。あの作品は兵を駒以上のものに見せまいとした訳ですが。そう言えば、「…こんなひどいことしてたんだ」ってのは、TVで流れるDQⅧのCMを見て私も思いましたっけ(笑)。炎にまかれたりするモンスターの姿は衝撃的だったなぁ。…まぁ、同じことを「私」もされてるんだけど(笑)。
 挿画は佐竹美保さん。この人の絵は基本的には好きなんですが、今回は今イチだったような…。こんな表情がはっきり出るような絵は魅力半減なんだよなぁ。昔の翻訳ものの挿画を思わせる、雰囲気を掴んだ絵の方が好き。一枚の絵の中にお話の内容全て詰め込んだような楽しい絵が、この人の真骨頂だと思うんですが。