織田信秀の娘・御長は、男として育てられた。母親・土田御前が、側室に先に男児が産まれたのを妬み、家督を獲られてなるものかと信秀を押し切った為だ。弟が何人もできた後でも、御長は父の溺愛を受け、やがて跡目を任される。自分の正体を見切った斉藤道三を後ろ盾に、「女」を武器にして戦国の世を勝ち抜いて行く。
弟・信行についていた柴田勝家を味方にする、膂力に劣る自分を自覚して南蛮流の戦法を取り入れる。修得に筋力や技術の必要な弓より鉄砲を重んじ、接近戦に持ち込ませないよう長槍を用いる。生まれや名誉・土地にしがみつく価値観を鼻先で笑い、長けた金銭感覚を生かして商業に力を入れ、能力のある人間を取り立てる。せいぜい領土を広げるだけの男の発想を覆し、女子供が安全に暮らせる泰平の世を目指す。
桶狭間で今川義元を蹴散らした後、将軍・足利義昭から使わされた使者は明智光秀だった。斉藤道三の死後、諸国を放浪してバテレンの知識を吸収した光秀は見識広く懐深く、以降御長の参謀となる。
一方、御長は浅井長政と恋に堕ちる。天下を譲ってもよい、ゆっくりじっくり育てたいとまで思っていたのに、彼は御長を裏切る。命からがら散々酷い目にあいながら、それでも御長は長政を責めきることができない。それにより起こった織田信長を侮る世間の風潮に腹を立て、御長は比叡山を焼き討ち、上京を焼き払う。御濃に女としての現実を突きつけられ、光秀に慰められても浮き上がらなかった御長の想いは、武田信玄の訃報によってようやく吹っ切れる。
――自分は天下統一の天命を与えられたのだ、信長に逆らうものは天誅を下されなければならない。
長政を切腹に追い込むが、御長の身代わりとも言うべき御市と娘は返された。女を否定された御長には、女の若さではなく才智を愛でる光秀がいよいよ好ましい。だが天下を狙うことなくあくまでも信長を立てる姿に物足りなさも感じ、八つ当たりをしてしまう。秀吉の謀反を知り、光秀を差し向ける御長。そう見せかけて天皇を討つつもりだったのに、光秀は御長のいる本能寺を目指していた。…
弟・信行についていた柴田勝家を味方にする、膂力に劣る自分を自覚して南蛮流の戦法を取り入れる。修得に筋力や技術の必要な弓より鉄砲を重んじ、接近戦に持ち込ませないよう長槍を用いる。生まれや名誉・土地にしがみつく価値観を鼻先で笑い、長けた金銭感覚を生かして商業に力を入れ、能力のある人間を取り立てる。せいぜい領土を広げるだけの男の発想を覆し、女子供が安全に暮らせる泰平の世を目指す。
桶狭間で今川義元を蹴散らした後、将軍・足利義昭から使わされた使者は明智光秀だった。斉藤道三の死後、諸国を放浪してバテレンの知識を吸収した光秀は見識広く懐深く、以降御長の参謀となる。
一方、御長は浅井長政と恋に堕ちる。天下を譲ってもよい、ゆっくりじっくり育てたいとまで思っていたのに、彼は御長を裏切る。命からがら散々酷い目にあいながら、それでも御長は長政を責めきることができない。それにより起こった織田信長を侮る世間の風潮に腹を立て、御長は比叡山を焼き討ち、上京を焼き払う。御濃に女としての現実を突きつけられ、光秀に慰められても浮き上がらなかった御長の想いは、武田信玄の訃報によってようやく吹っ切れる。
――自分は天下統一の天命を与えられたのだ、信長に逆らうものは天誅を下されなければならない。
長政を切腹に追い込むが、御長の身代わりとも言うべき御市と娘は返された。女を否定された御長には、女の若さではなく才智を愛でる光秀がいよいよ好ましい。だが天下を狙うことなくあくまでも信長を立てる姿に物足りなさも感じ、八つ当たりをしてしまう。秀吉の謀反を知り、光秀を差し向ける御長。そう見せかけて天皇を討つつもりだったのに、光秀は御長のいる本能寺を目指していた。…
おお、斉藤道三、松永久秀! ちらっと出てきただけだけど注目してしまうわ、宇月原さんの影響力すごいな~(笑)。ゲーム『信長の野望』では臣下の忠誠度を上げるための「茶碗転がし」ってワザがあるとか聞いたことあったっけ(笑)。
自分の正義を信じ、声高に叫びながら周りの男を引きずり回す、と言うのは『傭兵ピエール』と同じパターン。『傭兵ピエール』ほど面白く思えなかったのは、あれは男の側から書いたものだったけど、女の方から書いてるからでしょうか。
重い物を背負わされた御長が悲劇といえば悲劇なんだけど、どうも私には好感の持てないキャラクターで; 気短で感情的で、頭いいんだろうけどそれ以上に欠点が目に付いてしまう。「女とはこういうもの」って決め付けたような文章にも首を傾げたし。
女だというだけで今まで誉めそやされていた発想まで侮られる。そのあたりの悔しさは分かるんですが、お相手の明智光秀が完璧すぎてねぇ。所詮彼の掌の上で踊ってるだけか、みたいな気がして仕方がない。今いち爽快感なかったなぁ。今回『傭兵ピエール』でのピエール役に当たったのは徳川家康だったような…。
自分の正義を信じ、声高に叫びながら周りの男を引きずり回す、と言うのは『傭兵ピエール』と同じパターン。『傭兵ピエール』ほど面白く思えなかったのは、あれは男の側から書いたものだったけど、女の方から書いてるからでしょうか。
重い物を背負わされた御長が悲劇といえば悲劇なんだけど、どうも私には好感の持てないキャラクターで; 気短で感情的で、頭いいんだろうけどそれ以上に欠点が目に付いてしまう。「女とはこういうもの」って決め付けたような文章にも首を傾げたし。
女だというだけで今まで誉めそやされていた発想まで侮られる。そのあたりの悔しさは分かるんですが、お相手の明智光秀が完璧すぎてねぇ。所詮彼の掌の上で踊ってるだけか、みたいな気がして仕方がない。今いち爽快感なかったなぁ。今回『傭兵ピエール』でのピエール役に当たったのは徳川家康だったような…。