読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

弥勒の月 あさのあつこ著 光文社 2006年

 あさのあつこの初時代小説(多分)。 

 堅川で若い女の死体が上がった。仏は小間物問屋・遠野屋の若おかみ、おりんらしい。妻の死体を眉毛ひと筋動かすことなく検める夫・清之介を、同心・小暮信次郎と岡っ引き・伊佐治は不審に思う。特に信次郎の執着ぶりは伊佐治の理解の範疇を超える程。確かに清之介の立ち居振る舞いには、ただの入り婿商人とは思えない何かがあった。調べを進めて行くうち、おりんの入水を目撃した履物問屋・稲垣屋惣助が殺され、水音を聞いた夜鷹蕎麦屋の弥助が行方不明になる。おりんの母・おしのは娘の自殺の原因は自分にある、と後追い自殺。自身も暴漢に襲われ、全ては自分の過去にある、と信次郎たちに手を引くよう頼む清之介。だが、信次郎はそれを聞き入れることなく、真相に迫って行く。…

 自分を見失った信次郎の前に現れたおりん。彼女を手に入れて、「弥勒の裳裾をつかんだ」と思ったのに、また自分のせいで失ってしまう。
 清之介と信次郎、どちらに重点を置くのか、どうも軸がぶれてる感じがしました。殺しの理由も「えっ、これで殺すの??」とか思ってしまったし。こう言う場合は相手の弱味は判ってる訳だし、脅す方が効果的な気がするんですが。
 …それにしても、やっぱりこの作者の「、」を打つ場所には違和感があるなぁ。