読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

花の魔法、白のドラゴン ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著/田中薫子訳 徳間書店

 ネタばれあります、すみません;

 主人公はロディとニック。
 ロディは魔法が普通にある世界<ブレスト>の少女、13歳。偶然、魔女シビルら三人が恐ろしい陰謀を企てている事を知り大人たちに話すが、誰も彼女を信じない。ロディと、シビルの息子だが魔法がうまく使えないためみそっかす扱いされているグランドは、一面識もなかったロディの母方の祖父・グウィンにまで相談するが、グウィンはいち早くシビルの使い魔にされてしまい、二人を助けられない。だが、彼の助言により、ロディはいにしえの魔女のものだった「花の魔法」を受け継ぐ事に成功、異世界の少年ニックに会う。
 ニックは<地球>の少年、14歳。本当は違う世界の皇子だったが後継者争いに嫌気がさし、その地位を放棄して<地球>にいる。ある日いきなり異世界に放り出され、強力な魔法使いロマノフに出会う。ロマノフはニックを殺そうとするが、結局果たさず、その場を去る。ニックは<地球>に帰ろうとあちこちの異世界を巡る中ロディと会うが、今の自分では役に立たないと別れ、協力を求めてロマノフを追う。やがて彼と再会するが、途中の世界でニックにかかっていた魔法が災いしてロマノフは瀕死の状態に。偶々ロマノフを訪ねて来たロディの父方の祖父・ハイドが窮地を救い、ニックは<ブレスト>へ行くことになる。ハイドの娘、ロディの叔母にあたるドーラは少し心を病んでおり、妖しげな魔法使い仲間からサラマンダーを購入。可哀想なサラマンダー達を救うため、ドーラの仲間からサラマンダーを回収して廻ったその夜、ハイドはシビルに攫われてしまう。
 一方、ロディとグランドはグウィンの元から父方の祖母・ヘピィの家へ。だがヘピィと反りが合わず、ハイドの元に送られる。そこでニックと再会、一緒にロマノフのいる世界へ行き、捕らわれていた人々を救う。一足先に<ブレスト>に戻った子供達は、<ブレスト>の力を全て自分のものにしようとするシビルらに、サラマンダーと共に生け贄にされかかる。ニックは、この国の山脈として眠る白いドラゴンを呼び起こし、ロディはいにしえの魔法を使って新しい国を起こして、シビルに対抗する。…

 この作者お得意の多元世界もの。読みかけて、「クレストマンシーのシリーズじゃないよね??」とカバー裏の粗筋紹介を確認しました(笑)。世界も時間も飛び越えて、ラスト一つに収束する面白さ。どの出来事も人物も、後々意味を持って来るので油断できない。この作者の作品でオチの理解できないお話が私にはあるのですが(「七年目の魔法」とかよく判らないんです;)、これは文句なしに面白かったなぁ。
 挿画は佐竹美保さん。私この人の絵、好きです。どれもちゃんと作品読んでないと描けない、細やかな挿絵。ただ、荻原規子さんの勾玉シリーズの文庫の表紙は「…合わない;」と思いました; 佐竹さんの絵、バタくさいんだわ。和物は今ひとつ合ってない気が…;; ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品には、ぴったりなんですけど。