読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ネクロポリス 上下 恩田陸著 朝日新聞社 2005年

 その国の人々には、ある時期をV.ファーと言う島へ行って過ごす習慣があった。アナザー・ヒルとも呼ばれるそこで、彼らは死者-お客さん-と会い、語らう。その風習をヒガンと言う。民俗学者の卵ジュンイチロウ・イトウはフィールドワークとしてヒガンに参加、不可思議な土地で次々に「お客さん」と出会い、話をする。閉ざされた島の中で起こる連続殺人事件、その犯人は世間を騒がせている「血塗れジャック」と同一人物なのか。異変が続くアナザー・ヒルには何が起ころうとしているのか。死者と生者と精霊が行き交う島で、ジュンは真相に迫って行く。…
 …あらすじがすっっっごく書きにくい話です; 幻想小説、と呼ばれる類の話になるのかな?
 装幀がやっぱり凝っててキレイ。装画が藤田新策氏、と言うことはスティーブン・キングへのオマージュ作品と取っていのかしら。…と言っても私キング作品は「スタンド・バイ・ミー」しか読んでないんで分かんないんですけど。
 舞台背景がはっきりわからないまま話が進み、ある程度行った所で説明される、この頃のSFアニメのような話運び。日本は大英帝国の植民地になった後返還されたと言う設定で、イギリスと日本の風習が奇妙に入り交じった世界観。
 私刑にもなりかねない「ガッチ」騒ぎの緊張感とかはさすが。後半吊し上げ騒ぎになるかと思いきや、いきなり「ハンドレッド・テールズ」百物語だもんなあ、うまくスカされたと思ってたらホラーに落とされるし。「六番目の小夜子」の文化祭のシーンを思い出しました。最後、これからクライマックスにしてはこの残りページで間に合うのかしら、と不安に思ったんですが、やっぱりこの終わり方はちょっと拍子抜けな気がしないでもない; 妙に明るいのは恩田さんの作風かなあ。