読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

日暮らし 上下 宮部みゆき著 講談社 2005年

 宮部みゆきの連作時代小説。
 岡っ引き政五郎に引き取られている少年三太郎-通称おでこ-がご飯を食べなくなる。その驚異的な記憶力で似顔絵師殺しの解決の糸口を見つけ、人の役に立つ事で自分を取り戻す「おまんま」。お恵は佐吉と所帯を持って半年、この頃関係がぎくしゃくしている。佐吉がどこか虚ろで心が側にない。お恵が不安を一気に爆発させ喧嘩した翌日、佐吉が自分の身の上話を始める「嫌いの虫」。「子盗り鬼」はその佐吉の母親葵が、夫を亡くして以来タチの悪い男に付け狙われていた母子を助ける話。「なけなし三昧」ではどう考えても赤字のお菜屋を始めた女の本当の目論見が明かされ、全ての話が繋がって「日暮らし」-葵が殺され佐吉に疑いがかかる-へ流れる。エピローグ「鬼は外、福は内」で結。
 …宮部みゆき作品を嫌いな人っているのかなぁ。本当、お見事。面白い。
 シリーズ前作「ぼんくら」を結構忘れてしまってました; 今度もう一度読み返そう; それでも弓之助君のことはさすがに覚えてましたね。宮部作品に可愛い男の子が出てくることはお馴染みですが、はっきり「美形」と書かれてる少年は珍しい気がして。登場人物と同じく、弓之助・おでこの二人にころころ転がされっぱなし(笑)。つまり宮部さんの掌の上で転がされてるんですね(笑)。
 宮部さんこんな風にはっきり作品にクライマックス作る人だったかしら。「あかんべえ」でもラスト近辺の盛り上がりにわくわくどきどきして「これこそカタルシスよね!」とか思ったんですが、今回も後半一気でした。後日談として水芸人を絡める所なんか本当に心憎いばかり。
 個人的に着物の柄に興味が湧くようになってました。子持ち縞とか薩摩小紋とか。食べ物も美味しそうだったよ~; あ、でも食べ物の美味しそう加減は池波正太郎の方がまだ上かな(笑)。