読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

泣き虫弱虫諸葛孔明 酒見賢一著 文藝春秋 2004年

 …このパソコン、諸葛孔明って一発で出ないんだ…。
 始め、あれ、酒見さんてこんなに自分が前面に出た、あ・かるい文章書く人だったっけ、と思ったのですが、読み進んで行くうちに何か納得。これは歴史小説じゃないんですね。三国志、特に孔明に対する酒見さんの所見を縷々述べた、って感じ。私的に、三国志はあまり面白いとは思っていませんでした。読んだのはかなり昔、吉川英治三国志張飛は学習能力のない乱暴者にしか見えなかったし、劉備に対しては「何でこんな決断力のない人にみんな付いて行くんだ?」と不思議に思ったし。今回の酒見さんの「げへへ…」と笑うアル中寸前の張飛や「劉備軍は任侠集団」と言う解釈の方がすとん、とハマりましたね。孔明は近所で評判の変人だし(笑)。三顧の礼にしたってその当時の中国の礼儀ならその位当たり前のことだったとかで、その三回の訪問に半年も掛けてるなんて、本気で劉備孔明を欲しかったのか?って話だし(笑)。徐庶劉備に偽名を名乗ってた理由に「『権柄ずくで美食狂いの父親が、めしがまずいというだけで母を責め殺したため、許せず家出したわたしは母方の姓を名乗っていたのです』とかなんとか嘘の答弁をしても、この時代では誰も元ネタを知らず」なんて書いてる辺り、作者自身随分楽しんで書いてる様子がありあり(ちなみに私もすぐに元ネタが判らず、目が泳いでしまいました。…海原雄山のことですね;)。英語版三国志の紹介に至っては、「そりゃこの文体にもなるわ」としみじみ思いました。「桃園の誓い」が「ピーチ・ガーデン・プレッジ」、お互いを「ブラザー」と呼び合い、陣はキャンプ、砦城はベース・キャンプ、城市はキャッスル・タウン。臥竜がスリーピング・ドラゴン、鳳雛がフェニックス・フレッジリング(駆け出し不死鳥)だそうで、……判り易ッ!! でも重みねぇ~!!(笑)
 「…については後日述べる」って記述の割には、三顧の礼までで作品終わってしまいました。続き出るのかなぁ。出て欲しいなぁ(笑)。
 しかし、この題名はどうかと思うんですが。