巣鴨の治療院で受付のパートをする主婦の祝子は、人のオーラが「視える」からこそ巷に流布するスピリチュアルの類を信じていない。いんちきだとわかってしまうからだ。しかし夫 信二の不貞行為に気付いた日、歌舞伎町のある占い師に自身の能力を見抜かれ驚く。さらには祝子にもオーラを視ることのできない年下の理学療法士・月島優との出会いをきっかけに、運命は足元から崩れてゆく。
優は優秀な療法士だった。やがて優を巡って患者の間で指名争いが起き、同僚に一方的に敵視され、歌舞伎町の分院に追いやられるほどに。優はそこから人気ヨガ講師ジョゼ中山に引き抜かれ、どんどんカリスマ的な人気を得ていく。ジョゼ中山は、新興宗教『真の宮』の元信者だった。優の死んだ両親も、『真の宮』の信者だったらしい。両親共々交通事故にあって、優はかろうじて命を取り留めたのだとか。
祝子は夫の元を出て、オーラ鑑定士として働き始めた。怪しげなメイクと衣装、だが実情を視る目は精確で、たちまち人気鑑定士に。クライアントには夫の浮気相手 片岡多美や、その弟で『真の宮』にかぶれている片岡一平も来た。
待ち合わせ場所、時間を指定するわけでもないのに、優とはちゃんと会えた。お互いが特別だとそのたびに心癒された。祝子は自分のルーツを確認し、『真の宮』に乗り込む。そこで祝子は優の正体を聞かされる。
優の言動は怪しいものになって行く。秋分の日、開かれたイベントに祝子は向かう。そこには『真の宮』教祖を敬愛し、優を一方的に敵視する片岡一平も向かっていた。… (表紙折り返しの紹介文に付け足しました)
出だし、祝子の境遇が結構辛くて、なかなか読むスピードが上がりませんでした。何だなんだオカルト系か?と思ってたら、最後きっちりサイバーパンクでした。…そう、伏線ちゃんと敷かれてたのよね、オーラの色とか幼馴染についての言及とか。
祝子の境遇の辛さについては中盤でも後半でもあまり変わらず(…;)、読んでてやっぱり息苦しいのですが、最後には覚悟が決まります。こちらも相手を容赦なく利用してやろう、優先順位を決めた彼女は凛々しい。背筋がぴんと伸びた彼女が見える気がしました。でも祝子はこれから誰も信じられないんだろうな。あんな目にあっちゃなぁ。
読後感は清々しくはあったんですが、何だかやるせなくもなりました。