読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

初瀬屋の客 狸穴屋お始末日記 西條奈加著 文藝春秋 2025年

 シリーズ2作目。連作短編集。

 祭りぎらい
 笛師の近次が、女房 お宗の父親 弥兵衛から離縁を申し渡され、困っているという。近次は笛の作り手としてだけではなく吹き手としても一流で、祭りの囃子方にと引っ張りだこ。忙しく駆け回っているうちにお宗が流産し、それが弥兵衛の逆鱗に触れた。だがお宗の心は近次に寄り添ったまま、別れたくないと言う。弥兵衛には祭りに関わる嫌な思い出があった。

 三見の三義人
 狸穴屋には今、播州加古郡三見村から来た客が三人滞在している。申し立てをして半年以上経つが、まだ奉行から音沙汰はない。二百年以上に渡る漁場争いの件で、今回もまた先行きは暗い。三人は老中への直訴を考えていた。

 身代わり
 評定所留役 浅生南堂の養子 集堂が、義父を訴えた。南堂が集堂を離縁したのを、不服に思っての行動で、話を聞くと確かに南堂の行動は腑に落ちない。何か理由があるのではないか、近頃 南堂の家から子供の声がするようになったらしい。

 夏椿
 道具屋 鶴勢屋の大内儀お越が、夫 萱兵衛への離婚を申し立てた。卒中で倒れて以来親身に世話をしてきたが、罵詈雑言を浴びせられ、しまいには趣味のちりめん細工も禁じられ、愛想が尽きたという。夫はへそを曲げて三行半に応じない。女将の桐は萱兵衛に新たな世話人を手配する。

 初瀬屋の客
 かつて公事屋の娘だったお笠が、桐を訪ねて狸穴屋にやって来た。今は旅籠の女将を勤めるお笠、気になる客がいるという。その客と、前の亭主 日賀蔵が会っている気配があるのだとか。日賀蔵は以前、奢侈を咎められ所払いを食らった、しかし腕のいい公事師だった。

 証しの騙し絵
 お笠の宿の客は、評判の悪い公事屋に騙され、江戸支店の独立を認めさせられた被害者だった。今更ついた決着を引っくり返せるのか、手代二人は内々のやりとりをこっそり書き留めていたという。それも日賀蔵の助言に従って。日賀蔵の真意はどこにあるのか。…

 そうか、前作の印象では離縁専門に見えましたが、公事師って江戸時代の弁護士だったり司法書士だったり、って職業だったんだな。
 今回随分 取り扱う訴訟内容が増えました。書類が八通も写しがいるとか、いつの時代も煩わしさは変わらないのね~、しかもこの時代全部手書きの一発勝負だし;
 見本の文書を見ながら…とか、覚えがありすぎてこっそり笑ってしまいましたよ。
 今の価値観からすると、「そこまで悪いことか?」と思う訴えもあったりしたんですが、これは私が情が薄いせいですかね(苦笑;)。
 色々話は広がりそうです。