連作短編集。シリーズ第十巻。
ふじのはな
麻之助と清十郎は、高利貸し丸三とお虎の婚礼の儀を手助けすることに。ところが行く先々で、丸三とお虎の名を騙って小銭を踏み倒しているヤツがいる。犯人を突き止めるには人海戦術が必要、そのために与力の小十郎に借りを作ろうと、小十郎が悩まされている大名と旗本の諍いに知恵を貸すことに。とある大名と旗本は、形見の品の高価な櫛の所有権を争っていた。
おとうと
町名主 西森家の金吾が怪我を負った。養生で湯治に行くことになったが、その間 十七歳の長男 金一が代理で差配を行うことに。翌日、麻之助が手伝いに行くと金一は姿を消している。しかも麻之助には「猫を探してくれ」と緊急とは思えない用事を依頼されて…。
ああうれしい
料理屋 菅井屋の一代目 靖五郎は順風満帆な商売っぷり、だが長いこと”ああ嬉しい”と思っていないと言う。とりあえず火事の後の差配をお願いしてみるとその有能さを発揮、だがその素早い行動は軋轢も生んだ。その様子を見て麻之助が思いついたことは。
縁談色々
元御殿女中お美代の養女の縁談を、早々にまとめなければならなくなった。同じ頃、下総から来たお真沙は、度重なる不幸に嫌気がさし、自立できる職を紹介してほしいと言う。だが江戸の女の職業は、結婚していることが前提のものばかりで…。
むねのうち
与力 相馬家の屋敷の台所から、見るからに高価な簪が消えた。客あしらいをしていた一瞬の間のできごとに、娘の一葉は首を傾げるばかり。相談しようと、お和歌、お虎、お安とお雪に連絡を取った。そこに居合わせた麻之助は、近頃起きている武家屋敷での盗難騒ぎにも通じるのではないかと知恵を絞る。
だいじなこと
相馬吉五郎と一葉の縁談がまとまった。その準備中、麻之助は具合が悪くなってしまう。どうやら流行り風邪をひき込んでしまったらしい。偶然居合わせた若い医者に診て貰ったが、吉五郎も薬を送って寄越してきた。大名家の薬とはどんなものか、興味津々な医師たち。だが、その薬が忽然と消えてしまう。…
もうシリーズ10冊目かぁ。何だかんだ、麻之助もしっかり役目を勤めているようです。
今回、江戸の裏事情と言うか、後ろ盾が垣間見える話が多かったような。いくら有能でも肩書がないと揉める原因になるし、年頃の女はやっぱり縁付いてないと色々生き難そうだし。義弟の金一は、なかなかこちらをムカつかせる才能を持っているようで、つきあってあげる麻之助はまた厄介ごとを持ち込まれそう。…というか、お和歌さんの弟が何故あんななの??(苦笑;)
吉五郎と一葉も落ち着きそうです。次巻に続きます。