読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

Wi-Fi幽霊 乙一・山白朝子著/千街晶之編 角川ホラー文庫 2025年

 乙一・山白朝子 ホラー傑作選。

 階段/乙一
 木造の家で、小1の妹は二階から階段を下りる事を怖がっていた。日常的に暴力をふるう父親に対し、姉妹で怯えて過ごす日々。母親も何も言わない。

 SEVEN ROOMS/乙一
 十歳の僕は中学生の姉と共に、見知らぬ部屋に閉じ込められた。部屋の端を流れる汚れた排水溝に潜って辿ると、その先にはやはり同じような部屋が並び、女の人が監禁されていた。

 神の言葉/乙一
 「僕」の声には不思議な力がある。生物は全て僕の言葉に従うのだ。外見は品行方正ないい子なのに、実は劣等感に苛まれていた「僕」。ある日、耐えきれなくなって人類に「言葉」の力を使ってしまう。僕自身にさえも。

 鳥とファフロッキーズ現象について/山白朝子
 怪我した黒い鳥を保護して以来、その鳥は父や私に懐いた。言葉にしなくても何故かこちらの望みを察してくれる。ある日「私」の留守中に父親が銃で殺される事件が起きた。高校生の私に、大人が次々と接近してくる。やがて、心の中でしか思っていない願いを、鳥が叶えてくるように…。

 〆 /山白朝子
 旅本執筆のため旅する和泉蠟庵に付き従う「私」。道中でなついて来た鶏と共に迷い込んだ村では、全てのものに人の顔が浮き出て見えた。木々の幹、家の柱や天井だけならまだしも、魚や野菜や米の一粒一粒さえにも。「私」はそれらを口にすることができない。

 呵々の夜/山白朝子
 蠟庵と逸れて一夜の宿を乞うた「私」。その家の家族は「こわい話」を始める。旅人を惑わす人魂の話、山道で後ろから誰かに肩を叩かれた話、お屋敷で指を一本貰った話…。だがどうも怖がるピントがずれている。

 首なし鶏、夜をゆく/山白朝子
 クラスメイトの水野風子は、叔母から虐待を受けていた。可愛がっていた鶏の首を叔母に落とされて、でもその鶏は首のないまま生きている。叔母から隠すため、「僕」マキヲは鶏を預かった。だが暫くして、風子は学校に来なくなる。

 子どもを沈める/山白朝子
 私の高校時代のクラスメイトが産まれたばかりの我が子を殺した。「私」とそのクラスメイトたちは、高校の頃一人の同級生をいじめて自殺に追いやっていた。クラスメイトたちは、自分の子供がその女子高生に見えて、ノイローゼを起こしたらしい。果たして「私」が産んだ子も、その同級生そっくりに見える。

 Wi-Fi幽霊/乙一
 山奥のキャンプ場で、必要に駆られてスマートフォンを見知らぬWi-Fiに繋いだ「私」。以来、覚えのない画像が大量に保存されていたり、あやしい電話が掛かってきたり、気味の悪いことが続く。友人とも連絡が途絶え、「私」はAIを相談相手に写真を分析、真相の解明に挑む。…

 既読の作品もあり、初読の作品もあり。「読んだけど忘れてる」ってのは多分なかったと思う、この辺り乙さんの短編ホラーって本当に印象深い。特に、『SEVEN ROOMS』の衝撃は未だに記憶に鮮明です。
 『神の言葉』は何となく、『ドラえもん』のどくさいスイッチを思い出しました。あれは取り返しがつくようになってた秘密道具でしたけど、自分で自分を誤魔化すとなるとこうなるのかも。
 『Wi-Fi幽霊』はあれ、作者 実際にAIに質問しながら書いてる話なんでしょうね。結構説明がくどくどしいのは(失礼;)、乙さんの近作の傾向のような…。写真の加工にしても検索にしても、こんなにAIを使いこなした作品は初めてでした。よくこんなの思いつくなぁ。どんな文明の機器にもホラーは潜ませられるんですね。