食事にまつわるSFアンソロジー。ネタばれあります、すみません;
石のスープ / 深緑野分
博士が発明した石からは出汁が出た。これで食糧難に喘ぐこの世界が救われる! 決して美味くはないこのスープを、料理長は工夫し調理して人々にふるまう。やがて、このエキスの出所が判明する。
E・ルイスがいた頃 / 竹岡葉月
両親の離婚を切っ掛けに、ミカエラは地球の祖父の元でしばらく過ごすことになtった。初めて会った祖父はなかなか自由でヤンチャで、不老処置を施した分、若者の外見をして、この時代に野菜や果物を育てていた――!!
最後の日には肉が食べたい / 青木祐子
私の中にはルカがいる。肉を通して私の中に入って来た寄生種族。ある日、勤め先の肉料理店に来た客に、私は好意を寄せられた。何でもルカに相談して決めてきたのに、今回ルカははっきりした返事をくれない。
妖精人はピクニックの夢を見る / 辻村七子
世界的パンデミックが日常的に起こり、食料自給が難しくなった世界。磐土は原因不明の病のため隔離され、でも症状も治まって、明日にでも我が家に戻れる筈だった。その夜、背中に激痛が走るまでは。その激痛は、こんぺいとうのような形の薬を飲むことで治まった。
おいしい囚人飯 「時をかける眼鏡」番外編 / 椹野道流
異世界転生した西條遊馬は、その国の観光産業のためアイデアを練ることに。発案したのは囚人体験、囚人飯も工夫しなければならない。決して美味しそうには見えず、でも食べるのは観光客だから、実際は美味しいものを。
しあわせのパン / 須賀しのぶ
ヴィチノの国民は、みんな同じものを食べていた。「しあわせのパン」と呼ばれるパンと「しあわせのしずく」と呼ばれるお茶、それだけ。クーデターが起きてそれらは無くなり、今、料理家のミミアはパンを再現しようとしている。元同僚のサイボーグ ヒューのためにも。
敗北の味 / 人間六度
人類居営圏”すり鉢村”の狙撃手マレットは、一体の給仕ロボット ぺパーミルと出会う。人類から離反し、本来なら壊すべき存在。だが彼は、マレットのために調理をする。携帯食料に慣れたマレットはその消化に苦悩しつつ、その味が忘れられない。やがて食材が尽き、ぺパーミルはマレットに”博物館”に保管されているスパイスの調達を依頼してくる。
切り株のあちらに /新井素子
あたし達が住んでいるネオ・ジャパンには、地球の日本地区からの移住者が住んでいる。少子化対策、食糧難のための惑星間移民、だがここでも少子化は進んだ。だが不法移民者”匪賊”は増えているらしい。…
一昔前なら、こういうのは雑誌で特集組んだんだろうな、と思いつつ。実際、初出ウェブマガジンの作品が多々あったし。
面白かったです。ほぼほぼ初読の作家さんだったな、来歴も様々なのね~。
どの未来もあまり幸せそうではなく、やっぱりこれはコロナの影響が大きそう。その中で異世界転生ものの『囚人飯~』が何だか気を吐く感じ、辻村さんの『妖精人~』も 穏やかに希望を持たせる作風がいかにもでしたねぇ。
きっとあの作品に触発されてできた作品なんだろうな、と作者の読書傾向が見えるものもありました。こうして繋がって行くのね~。