読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

後宮の烏 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2018年

 シリーズ1冊目。
 ネタバレあります、すみません;

 翡翠の耳飾り
 後宮の奥深く、夜明宮に〈烏妃〉と呼ばれる妃が住んでいる。その妃は、妃でありながら夜伽をすることのない、特別な妃だった。不思議な力を使い、願いを叶えてくれると言う。
 若き帝 夏高峻はある日、その宮を訪ねた。落とし物の翡翠の耳飾りの持ち主が知りたい、この耳飾りには幽鬼が憑いているという。 調べると、どうやら先帝の時代の妃、 班鶯女の持ち物らしい。彼女は別の妃に毒を盛ったと疑われ、首を吊って死んでいた。烏妃 寿雪は班鶯女の侍女 蘇紅翹を訪ねた。紅翹は舌を切られていて、だが筆談で、全ては皇太后の企みであること、班鶯女には元々婚約者がいたことを告げる。その婚約者は今、後宮に忍び込んでいた。しかも皇太后が帝を毒殺しようとしている噂話を聞いたという。

 花笛
 鴛鴦宮の妃 花娘が烏妃を訪ねて来た。彼女の持っている花笛、死者の魂が鳴らせるその笛が鳴らないという。花娘が待っているのは亡き恋人 欧玄有の魂、〈月真教〉という新興宗教を調べに歴州に派遣され、暴動に巻き込まれて死んだらしい。寿雪の見る所、玄有の魂は見当たらない。折も折、後宮に官女に憑いた幽鬼が現れた。欒冰月と名乗った幽鬼は、寿雪に頼み事がある、その代わりに自分が封じている魂を返してやるという。

 雲雀公主(ひばりひめ)
 その昔、13歳で池に落ちて死んだ公主がいた。その公主が可愛がっていた雲雀の魂がまだ迷ってこの地に留まっている。生前、公主と言い争いをしたことを悔やんでいる侍女は、雲雀を送ってやってほしいと言った。
 一方 高峻は、欒という名字が前王朝の皇族の名であることに疑問を覚え、当時の事情を聞こうと冬官 薛魚泳を訪ねる。

 玻璃に祈る
 柳の花が咲くころ、現れる銀髪の幽鬼がいるらしい。前王朝が滅んだ時、自刃した皇族 明珠公主のようだ。実は冰月の頼み事も彼女のことだった。冰月と明珠は許婚の間柄で、冰月は未だ彷徨う彼女を憂いていた。寿雪は明珠の心残りを推察する。…

 この作者の前著『下鴨アンティーク』は読んでいました。白川さん、こういうファンタジーの方が合ってるんじゃないかな、私としては『下鴨アンティーク』より面白く感じました。
 進め方がいい。一つ一つのエピソードを並べて、その上で寿雪と高峻の過去や現在の立場を描いて行く。大きな罪悪感を持つ二人が近付いて行くのは無理がない。この一冊で高峻の復讐も、寿雪の境遇の回復もなされましたしね。
 急速に開けていく寿雪の世界、高峻との関係は「友」。できればそのままであってほしいな~、と個人的には思ってしまう(苦笑;)。夏の王、冬の王である以上、恋愛はご法度ですしね。
 次巻に続きます。