今なお活躍する80代・90代声優たちが集結!
音響監督もお迎えして裏側から見た声優史、声優の成り立ち、「ここだけの話」を語り継ぐステージ!
「共演して思い出に残っている声優は?」洋画の歴史、アニメの歴史とともに歩んできたレジェンドたちの口から溢れ出す声優業界の黎明期譚に乞うご期待!!
(フライヤーより)
5月15日(木)、『声優伝 ~声の宝石箱~』に行って来ました。
外画やアニメの吹き替え黎明期を支え、今も活躍するレジェンド声優さんや音響監督さんにお話を伺うトークイベント。草月ホールにての開催です。
14時の回に続いて、18時の回にも行って来ました。
夜の部のテーマは「アニメ」、出演は清水マリさん、野沢雅子さんと音響監督の壷井正さん。主催兼司会の野村道子さん。
オープニングアクトの朗読劇は昼の部と変わらず。ピアノ演奏での『ドラえもん』オープニングと共に登壇された野村さんは、この回は白地に赤い大きな赤い花柄のふんわりしたワンピース姿。「この曲だとね」としずかちゃんの声でご挨拶されました。一瞬で沸く観客、「かわいい!」の掛け声も(笑)。「私たちの井戸端会議にお付き合い下さい」と野沢雅子さん、清水マリさん、壷井正監督を紹介されました。
壷井さんは今『サザエさん』の音響監督をされているそうで、野村さん開口一番『サザエさん 今大変なんですって?」。フジテレビのスポンサー問題のことなのかと思いきや、「イクラちゃん変わるんでしょう?」。野沢さん「この頃あまりやりたがらないそうね」と相槌を打ち、壷井さんちょっと慌て気味に「ここだけの話にして下さい!」。…どうやらまだ解禁前の事情だったよう(爆!)。でも野村さんには勝てませんよねぇ(笑)。
まずは野沢さんの代表作一覧を見て「すごいわね」と野村さん。鬼太郎、ドロロンえん魔くん、銀河鉄道999、ドラゴンボール…と読み上げましたが、野沢さん「でも美女役がないのよ」(笑)。
20代の頃でもお婆さん役を演じたことがあるそうで、「何故もっと年上の方がやらなかったの?」と驚く清水さんに、野沢さん「私もそれ訊いたことがあるの」「反射速度がやっぱり違うんですって」とのこと。
『ゲゲゲの鬼太郎』『銀河鉄道999』『ドラゴンボール』全てオーディションで勝ち取って、「原作の先生に選んでいただいたことが自慢なの」。お会いしたときに「先生、私この役なんですよ」と言ったら、「当たり前です、僕が選んだんですから」と言われたのだとか。「この頃オーディションないのよね~」とまだまだ意気軒高なご様子でした。
反対に清水さんはオーディションを受けたことがないのだとか。「アトムはパイロット版からそのままだったし、ベロもジム少年もオファーがあって」。
『妖怪人間ベム』のベロ役は依頼理由を訊いたことがあるそうで、曰く「ロボットが妖怪やったら面白いかと思って」と言われたとか。『宝島』のジム少年は、「これはロボットでも妖怪でもない、人間なんだ」と自分に言い聞かせながら演じられたそうです。
意外なことに 野沢さんと清水さんの共演経験はなく、例えば『鉄腕アトム』にゲストで野沢さんが出たことはあるけれど、がっつり共演はないんだとか。
野村さんは野沢さんと『みつばちマーヤの冒険』で共演されていて(見てました!)、野沢さんが演じられたのはマーヤの仲間ウィリー。当初第一回だけの出演だったのが(野沢さん曰く「マーヤが巣から出てっちゃうから!」)後々また出られて嬉しかったとのこと。
野村さんは『鉄腕アトム』ウランちゃんのオーディションを受けたそうで、「落ちたけど!」(笑)。清水さんは「あんなに再放送されるなんてねぇ」「契約ちゃんとしとけば今頃大金持ちだったのに(笑)」。野沢さん「あの頃は誰もそんなこと思わなかったものねぇ」。
清水さんは原作 手塚治虫先生とは交流がなかったとのこと、「いつか食事しましょう」と言いながらも実現しなかったんだとか。
アトム役が決まった後、フジテレビから「2年間は妊娠しないで下さい!」と言われたのに、「そんなときに限ってコウノトリが運んでくるのよねぇ(笑)」。手塚先生にお話すると、「じゃあ2か月分急いで作ります、先に録りだめしましょう!」と言われたそうなんですが、「そんなこと無理なのよねぇ(笑)」。
田上和枝さんにバトンタッチして、さぁもう大丈夫!と思ってたら、すぐさまプロデューサーから「いつ復帰できますか?」の電話が。「アトムの声が違う」と全国の子供からフジテレビへ問い合わせが相次いだらしく、それに対して「中の人が代わった」との説明は、担当者がどうしてもできなかったとのこと。
当時スポンサーだった明治から粉ミルクをたくさん貰ったのに、お子さんがなかなか飲んでくれなくて(産院で飲んでいた別メーカーの粉ミルク(雪印だったかな・笑)に馴染んでしまってたらしい)、明治製をちょっとずつ混ぜて飲ませて、だんだん割合を増やしていって…と考えられたそう(笑)。未だにお子さんからは「あの頃から騙されてた」と責められる、という話までして下さいました(笑)。
その後 大山のぶ代さんから誘われて、女ばかりの事務所に所属。小原乃梨子さんや田上和枝さんも所属していて、時間の空いた人がお子さんたちの面倒を代わる代わる見ていたとか。かないみかさんもそこにいらしたそうです。
野沢さんはお子さんを「私は母にみて貰ってた」とのこと、働く母親の苦労、そういうふうに創意工夫して乗り越えられたんですね。
清水さんは手仕事がお好きなようで、松本零士さんの帽子も編んであげたことがあるのだとか。「白いドクロマークが歪んでるのが私のなの」。2枚差し上げたそうです。
舞台のお手伝いで、裏方として衣装にアイロンかけたりするのが本当に楽しくて、表舞台にはもう立たなくていい、と思ってらっしゃったのに、小原乃梨子さんから「籍だけは残しておけ」と説得されて、事務所に名前だけ残していたんだとか。
事務所は青二プロと一緒になって、その後「別に青二に不満があった訳じゃないんだけど、『独立する』って響きに惹かれて」新しい事務所設立に参加。『星の王子さま』の舞台をしていた経験から、「バオバブって木があるのよ」と紹介、そのまま「『ぷろだくしょんバオバブ』の名付け親ってことになったの」。
「印象に残っている人は」の問いに、野沢雅子さんは「愛川欽也さん」「いつも班長って呼んでたんだけど」。ガヤの場面でマイクを取り囲んで、裏側から喋っていたこともあったそうで、「あれ、音声入ってるのかしら」。壷井監督「集音マイクですからムリですよ」 野沢さん「やっぱり!(笑)」
野村さんは曾我真知子さんを上げられました。「あんな人見たことなかったわ」「服も派手で」
清水さんは「若山弦蔵さん」。「かっこよかった」「背筋がぴしっとして、動かないのよね」。アニメの絵と尺があわないことがあると、「口パクを合わせてよ」とおどけて仰ってたとか。野沢さん「あんなこと、若山さんだから言えるのよ」「冗談でも言えないわ(笑)」。
『宝島』では若山さん演じるジョン・シルバーを本気で好きになってしまって、最終回 落ちぶれたシルバーに大人になったジムが語り掛ける場面を、清水さんができなかったことが「本当に悔しかった」そうです。
先日亡くなられた堀絢子さんについて語られた場面も。皆さん交流があったそうで、野沢さん「やっぱりお酒が悪かったのよ」。台本を持つ手がぶるぶる震えてたことがあって、「でもお酒を飲むとぴたっと止まるの」。…それ、あかんヤツでは…!?(爆!)
メモを取るのが遅くて、野沢さん「代わりに書いてあげる」と台本に書き込みをしてあげたこともあったとか。
数日後に朗読劇の公演の控えて、「本当に突然だった」。台本を片手にワインを傍にソファーで亡くなっていらっしゃったとか、清水さん「それもらしいかなぁ、って」。
清水さんの家はアトムの人形だらけだそうで、「捨てられないじゃない?」。野村さんはあまりお持ちじゃないそうで「サザエさんのキャラクター人形ってないのよね」。話を振られた壷井監督もちょっと困ってらっしゃる雰囲気でした(笑)。
壷井監督は終始一歩引いて、お三人をにこにこと見てらっしゃる様子、「観客と一緒になって見てました」。
印象に残ってる役者さんには内海賢二さんを上げられました。とある役をキャスティングした時に「もっと低い声のヤツ当てろよ」と言いつつ辞めてたタバコを再開されたそうで、「悪いことしたかな」。…それはご本人の言い訳に使われただけじゃないかな(苦笑;)。
ちばあきお原作『キャプテン』にて、中学生の役を実際の中学生が演じた時の思い出話をして下さいました。アフレコ慣れしていないたどたどしさが、へなちょこで頼りないキャラクターとマッチして、それはそれでよかったんだけど、次々に声変りが始まって苦労されたのだとか。「きれいな声になってくれればよかったんだけど、もう『おっさんじゃねーか!』としか言いようがない声になったのもいて(笑)」「早いと三日で変わった」。
女性が少年を担当する、というのは、こういう事態を避けるためもあるんじゃないかと思うと仰ってました。
「いい声に変われよ、いい声に変われよ」と念じながら配役したのが浪川大輔さんだったそうで、「上手く変わってくれた」。…そうしたら野村さんと野沢さんが「大輔!」と声を揃え、「あいつ台本覚えて来るのよ!」。野沢さん「やめて、って言ってるの」「みんな覚えて来ましょう、ってことになったらどうするの!」。…愛されてるなぁ(笑)。
アフレコ時に映像ができていないことに関しては、昼の部に続いてここでも話題になりました。「まず距離感がつかめないのよね」と野沢さん。
ただ、壷井さん曰く、若い声優さんには、口パクに合わせての演技の方が苦手な人が多いそうで、そこに気が取られて「演技がモニターとの距離感になってる」と注意することもあるんだとか。
絵の点に関し、『サザエさん』は全て出来上がっているそうで、壷井さん「あれは見事です」。野村さんの頃はその週に放送する分を数日前に録っていたとかで、「休めないの」。今ではもうちょっと余裕があるそうです。
どこかへ出かけるとかというお話だとちょっとばたばたするけれど、家の中のお話だともう皆さん一発OKで演技されるそうで、壷井さん「流石です」と仰ってましたね。
「あれだけ頑張って声を入れたのに、この絵!?って思うことがある」という野沢さんに対し、壷井さん「元々 絵には制限があるものなんですよ」「それに感情を吹き込んで下さるのが声優の皆さんなんです」。…確かに、その通りだわ。
この会の朗読劇は、銀河鉄道に乗った少年がロボットに出会い共に旅をする物語。野村さんがト書きを読んで状況を説明し、野沢さん演じる少年が色々な必殺技を繰り出す場面も(笑)。清水さん演じるロボットの科白「心を探してるんです」には泣きそうになりました。
昼の部にも登場したコーラスグループILBUONOは鬼太郎のビンテージ人形を持ちながら『ゲゲゲの鬼太郎』のオープニングを歌って下さいました。…『宝島』とかもやってほしかったなぁ;
清水さんは朗読劇を皆さんとやったりして活動してらっしゃるそう。
野沢さん「正直、『面白くないなぁ』と思う台本もあるの」。…まぁ、そんな本音を…!(笑) 「でも、私たちの力で少しでも面白くできたら、と思って演ってる」。…ありがとうございます! 目標は百歳まで現役でいること、だそうです。
万雷の拍手の中、私はちょっと早めに席を立ちました。残念でしたが、おかげで最終2本前の新幹線に乗ることができました。いつもは座席に座れば即効で寝られるのに、今回ばかりは興奮しているのか寝付かれず、今日一日をぐるぐる思いめぐらすことに。家へ着いて母に喋っていると、「あら、じゃああの人の話は出たの?」「あの人は?」と色々尋ねられました。「私が行った方が楽しかったかもねぇ」。…私も十分楽しかったですよ。
とはいえ、色々思うところはありました。昼の部、夜の部通しのチケットがあったのでそれを購入したのですが、座席が後ろの方だった上、前列に体格のいい男性が来てしまってとにかく舞台が見にくかったこととか(これなら別々に買うんだった!)、鞄の中でお茶を溢してしまうハプニングを2回起こしてしまったこととか(これは自分の不注意のせいです。…全く、お茶難の日だったわ!)。
でも行きの新幹線で富士山は見られたし、チョコレートのソフトクリームは食べられたし、サブウェイのサンドイッチも食べられたし(以前 有吉弘行さんが「女はなぁ、エビとアボカドがありゃいいんだろ!」と言ってたエビとアボカドのサンドを!笑)、楽しい一日でした。
また次があったら行くなぁ。今度は一泊して、トキワ壮も見に行こう。
何より、幸せな一日でした。