読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

四つのサイン アーサー・コナン・ドイル著 小林司/東山あかね訳 高田寛 注・解説 河出書房新社 1998年

 新装版は2023年発行。原書は1993年刊オックスフォード版。

 コカインに耽溺するホームズと、それに苦言を呈するワトソンの前に現れた依頼人の名はメアリ・モースタン。軍人だった父が行方不明になって以来10年、家庭教師として身を立てて来たと言う。そんな折、6年前から、大きな真珠が毎年一つずつどこからともなく送られて来るようになったのだとか。やがて、メアリ本人と面会したいという手紙も届いた。ホームズとワトソンはボディガードとして、メアリに付き添うことにする。
 訪問先にいたのはサディアス・ショルトーと名乗る小男で、彼の父親とメアリの父親の間に因縁があるのだと語り始める。父親はインドで莫大な財宝を手に入れたが、本来分け合う筈のモースタン大尉が死んだのをいいことに、全て自分のものにしてしまったらしい。父親は、今更ながら、その宝物を忘れ形見のメアリに贈りたいという遺言を残して死んだが、サディアスの双子の兄バーソロミューはその実行に反対しているという。何より、肝心の宝物の在り処が分からない。
 だが、バーソロミューから宝を見つけたと連絡が入る。バーソロミューの屋敷に駆けつけるサディアス、メアリ、ホームズとワトソン。所が、二階の一室で、バーソロミューは遺体となっていた。凶器は毒を塗られた吹き矢、現場には「四つのサイン」と書かれたメモが残されており、屋根裏部屋にあった宝箱は消えていた。
 犬を使って犯人を追うホームズ。テムズ川沿いの貸し船屋の親父が行方不明なのを知り、張り込むことに。警察の協力の元、蒸気艇での追いかけっこの末に、主犯ジョナサン・スモールを捕まえた。ジョナサン・スモールは、インドでセポイの反乱のどさくさにまぎれ財宝を手に入れたこと、その後刑務所に服役していた時にショルトー少佐に出会い、宝を独り占めにされた過去を語り始める。…

 小さい頃に読んだ筈なんですが、そういえば途切れ途切れにしか内容を思い出せないな、と改めて読んだ一冊。
 案外覚えてたので驚きました。というか、断片的に覚えていた色々な場面が繋がりました。バーソロミューの死体の表情とか、ワトソンが犬のトビーを借りる時の遣り取り、トビーが道に迷った様子 等々。この作品だったのね~。
 かの有名な台詞「他の要因を全て消していって、残ったのが真実」が出てきた時には「ここだったかぁ」と感慨に耽ってしまいましたよ。
 テムズ川での追走劇や、ワトソンの「神様、ありがとうございます」の台詞は確かめるまでもなく覚えていたのですが、ジョナサン・スモールが財宝を手に入れた元々の経緯、この辺りはすっかり抜けてました。…不思議だなぁ、シャーロック・ホームズの他の長編は、過去話の方が印象的だったりするのに。
 訳者のあとがきで作品の考察などがされていたのですが、「…考え過ぎでは??」と思う箇所もあり。ドイルの幼い頃の境遇が反映されているとの見方は一般的なのかしら。昔の家庭環境まで紐付けされるとは、作者も思わなかったでしょうね(苦笑;)。