法治国家の欺瞞を暴くリーガルサスペンス!
駆け出し弁護士・川村志鶴のもとへ、突如、当番弁護の要請が入った。荒川河川敷で起こった女子中学生連続死体遺棄事件――遺体には証拠隠滅のため漂白剤がまかれ、冷酷な犯人像が推測された。容疑者には被害者の中学校に侵入し、逮捕された過去があったが、断じて犯行には関与していないと志鶴に訴える。警察による自白強要が疑われた。
志鶴が刑事司法を志した背景には、高校時代の友人のバイク事故死がある。自動車運転過失致死と処理されたが、彼女は冤罪を疑っている。そんな過去を持つ志鶴は、依頼人の潔白を晴らすため奔走する。
そこに立ちはだかるのは起訴有罪率が99・9%という現実だった。逮捕イコール犯人という世間の目。「人質司法」とも称される長時間勾留で有利に捜査を進めようとする警察・検察。共同弁護を務める先輩すら有罪前提の弁護方針を説き始めるなか、孤立無援の志鶴は依頼人を救い出すことはできるのか――?
構想・取材期間8年に及ぶ超弩級リーガルサスペンス。 (出版社HPより)
「里見さん新刊出たんだ」ってんで何の予備知識もなく予約を入れた一冊。いざ手元に来て、分厚さに驚きました。二段組、600頁の大長編。二週間で読めるかしら、と一瞬頭を過ぎりましたよ。
結果的には、けっこうぎりぎりになりました。読み始めてすぐは「あ、大丈夫だ」「法律用語飛ばし読みしたら」(←おい;)と気楽に考えてたんですが、中盤が内容的にとにかくツラくて; 特に断章、真犯人の犯行描写は本当にきつかった。裁判に至るまでの手続き等もまどろっこしく、でもこれが現在の日本の司法のリアルなんだろうなぁ。
いや、怖かったです。丁度 袴田事件の無罪判決が出たり、紀州のドンファン事件の容疑者の「警察も検察もストーリーを決めてて、何を言っても無駄だと思った」みたいな証言が報道されてた所ですし。こんな風に犯人に仕立て上げて行かれるんだ、という怖さ。性的嗜好等、プライバシーを容赦なく暴かれていく。いや、男性で(この頃は女性でも)エロ本読んでない人はいないでしょうに。登場人物が悪人は悪人、善人は善人と類型的で、これではコメディだよ、と思う位な描写があったのは気になりましたが、これだけ情報量の多い作品になると、キャラクターだけでもはっきりさせた方が分かり易いのかな。でも、検事や裁判官に始めっからケンカ腰で挑むのは、かえって心証悪くなって不利だろう、もうちょっとうまく立ち回ろうよ、とは思いました。
裁判になってからは一気でしたね。どうしても被告人の立場から見てしまうので、証拠を積み上げて行く様は胸のすく思いでした。真犯人が捕まったら警察や検察に賠償金請求しろよ、でもそれ税金から出るんだよなぁ。
どうか現実では、被害者の体内から採取されたDNA無視して犯人を決めつけるような、そんな馬鹿なことが起こりませんように。
作者の熱意に脱帽しました。