読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

王の綽名 佐藤賢一著 日経BP日本経済新聞出版 2023年

禿頭王、肥満帝、青歯王、合羽王、長脛王、金袋大公、ドラキュラ公、助平ジジイ……今も伝わる55人の王につけられた綽名から、近代ヨーロッパのなりたちがわかる。ゴシップとスキャンダルに彩られた、華麗で野蛮な中世・近世欧州史!

『小説フランス革命』や『ナポレオン』をはじめ、スケールの大きな歴史小説で多くのファンを持つ直木賞作家・佐藤賢一氏が、中世から近世にかけてのヨーロッパの王の「綽名」にまつわる逸話を在位の時代順にひもといていく歴史エッセイ。1話=4ページのエスプリの効いたコラム集という趣きで、寄席の謎解きのように軽妙な語りが時空をまたいで逸話と逸話をつないでく。読んでいるとはっと掌を打ったり、思わず吹き出したり。

本書に登場するのは、9世紀のフランス・ドイツ・イタリアの元となったフランク王国の王から19世紀の二月革命で廃位されるフランスの「市民王」まで55人。北欧のヴァイキングや戦乱やまぬイベリア半島の王も登場し、星雲状態だった中世ヨーロッパがほぼ現在の国々の勢力図になっていくまでの1000年が活写される。残虐非道な謀略、親子兄弟の骨肉の争い、結婚や世継ぎを巡る醜聞、そこにカトリック教会など宗教がからみ、時に100年も続く戦争に発展する。まさに血で血を洗う歴史である。

「赤髭帝」フリードリヒ1世、「獅子心王リチャード1世、「雷帝」イヴァン4世、「太陽王ルイ14世……それぞれの綽名は在位当時の国情や世相を表している。それも華麗なゴシップと野蛮なスキャンダルに彩られた俗っぽさとともに。

そして、王の綽名にまつわるうんちくも随所にちりばめられていて楽しい。たとえば――
現在のウクライナの原型となるキーウ大公国の最盛期をなした「聖大公」の名「ウォロディーミル」は、ウクライナのゼレンスキー大統領のファーストネームだが、これをロシア語読みすると「ウラジーミル」、プーチン大統領ファーストネームになる。今もウクライナの首都キーウにそびえ立つ「聖大公」の銅像は、モスクワにも……  (出版社紹介文より)

 歴史的についた「〇〇王」とかって通称を聞くと、真っ先に思い出すのが『銀河英雄伝説』や『アルスラーン戦記』…って、順番が違いますね、こっちの方が元ネタだってば。
 「はじめに」から楽しい(笑)。マッカーサーがアーサーの息子、マクドナルドがドナルドの息子という意味だと初めて知りました。オコナーがコナーの息子ってことはオハラはハラの息子ってことなのかしら。
 本文は大体年代に沿って、フランク王ピピンから。知らないことばかりで面白かったです。デンマークノルウェーの王ハーラル1世に因んでブルートゥース命名されたなんて。息子のスヴェンに反乱された、ってあのスヴェンですか? そのまた息子のクヌーズって、あの??(©ヴィンランド・サガ) 時々聞き覚えのある名前やエピソードが出てきて、いや、それもほとんど佐藤さんが書かれた小説で読んだんだっけ。あとは映画や漫画ですね(笑)。
 つけられた綽名も後の世の濡れ衣じみたものもあったり、やっぱり歴史って勝者のものなのね~。
 願わくば地図が欲しかった。時代ごとに領土は変わっていくから大変だとは思うんですが。
 これだけの知識、覚えていられたらいいなと思うんですが、片っ端から忘れて行くんだろうなぁ;
 そうそう、エルキュールがヘラクレスのことだと言うのも初めて知りました。ポワロさん、ヘラクレスの名前貰ってたのね…!