ネタばれになってるかも、すみません;
カルトじみた企業「T」の研修からから逃げ出した女性に、インタビューを行う記者。女はおどおどと語る。「わたしは……わたしたちは、人を殺しました」
鬱蒼と暗い森の中に建つ合宿所。ある団体の“レクチャー”を受け、受講していたわたしたちは一人の男を集団リンチで殺してしまった。死体を埋めた夜 火事が起き、わたしは参加者の一人に誘われて騒ぎに紛れ脱出する。脱出者は全部で五人、一緒に町へ逃げようとするが、森の中で迷ってしまった。森の植物で空腹を誤魔化しながら歩き、ツリーハウスを見つけて休んだ翌朝。五人のうちのひとりが死んでいた。頭部が切断され胴体は無い。しかもその頭部は、奇怪な装飾を施された古木の根元に、供物のように置かれていた。
熊の仕業だ、と無理やりに思い込み、彼の遺品の手帳を見ることに。彼はライターで、「T」の潜入取材を試みていたらしい。「T」は元々戦後すぐに起きた新興宗教を母体とし、教祖のキヨは熱病に罹った子供を預かって治していたという。今では消滅してしまった筈の宗教が、どう関係しているのか。
途中で加わった女性を含め、やはり森からの脱出路を探す五人。だが、次の死人が出て、お互い疑心暗鬼に陥った。極限状態の中、みんなの体に異変が起き始める。やがてわたしの体にも…。 (出版社紹介文に付け足しました)
最初、女性の描写に「あれ? この人もしかして…」と思ったことがあったのですが、読み進めていくうち忘れてしまい(…:)、最後の最後で「そういうことか!」になりました。
カルト企業の方のホラーかと思いきや、違う方向のホラーでした。ちゃんと筋通ってるんだよなぁ。「T」が人を集める理由も判りましたが、でもこんな人を雇って大規模にやるより、こっそり一人で何とかした方がいいんじゃないかしら。その点、語り手の女性の方が正解で、でも…中年のおっさんでいいの???ってのは思いましたねぇ。
それにしても、澤村さん凄い刊行ペースだなぁ。息切れしなきゃいいけど。