読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

緑陰深きところ 遠田潤子著 小学館 2021年

 兄さん、今からあんたを殺しに行くよ――。
 大阪ミナミでカレー屋を営む三宅紘二郎のもとに、ある日一通の絵葉書が届いた。葉書に書かれた漢詩に、紘二郎の記憶の蓋が開く。50年前、紘二郎の住む廃病院で起きた心中事件。愛した女、その娘、彼女たちを斬殺した兄……人生の終盤を迎えた紘二郎は、決意を固めた。兄を殺す、と。
 思い出の旧車を手に入れ、兄の住む大分日田へ向かおうとする紘二郎の前に現れたのは、中古車店の元店長を名乗る金髪の若者・リュウだった。紘二郎の買ったコンテッサはニコイチの不良車で危険だと言う。必死に止めようとする様子にほだされ、紘二郎は大分への交代運転手としてリュウを雇うことに。孫ほど年の離れた男との不思議な旅が始まった。
 かつて女と暮らした町、リュウと因縁のある男との邂逅、コンテッサの故障……道中のさまざま出来事から、明らかになってゆく二人の昏い過去。あまりにも陰惨な心中事件の真相とは。リュウの身体に隠された秘密とは――?

 旅の果て、辿りついた先で二人の前に広がる光景に、心揺さぶられる感動作。2020年直木賞候補となり、いま最も注目を集める作家が贈る、渾身の一冊。
               (出版社HPより)

 私自身がそんなに情が勝つ性格をしてなくてですね、だから途中でちょっとつらいような感じになってしまいまして;
 睦子さん、紘二郎でなきゃ駄目だったかなぁ。というか、辛い現実を受け止めきれずに、紘二郎に縋ったということか。お兄さんも、引くことはできなかったかなぁ。誰より気の毒だったのはお母さんでした。あんなに睦子さんが来ることを楽しみにして、全て用意して可愛がってたのに。
 登場人物が皆さん結構お喋りで、ちょっとうるさいようにも感じました。で、遠田さん、この間からプロット練り切れてないうちに作品にしてないかしら、と不遜なことを思ってしまったり。睦子さんの書いた手紙が出てくるのはともかく、2回に分けて、あの順番で…となると、それは安直に走ってないか?とか素直に受け止められなかったんですよねぇ。
 それにしても紘二郎さん、結構お金持ちだったなぁ。まぁ蓄えを全部つぎ込んでしょうが、金払いいいなぁ、と妙なことが気になりました。