テレビのニュースで訃報を知りました。
高校の時、課外授業で全校生徒揃って落語を見に行ったことがあります。市民ホールに来て下さったのは笑福亭門下の若手お二人と松鶴、仁鶴の師匠勢。よくもまぁ、凄い面々。
若手のお二人はお名前を存じ上げない方でした、すみません; 演じて下さったのは『時うどん』と『延陽伯』を途中まで(ちんちろりんのぽーりぽり、ばーりばりーのごーりごり♪ あたりで終わりました)。
仁鶴さんは 前のスケジュールが押してまだ会場に到着されてない、ということで、トリを務める筈の松鶴さんが先に登壇。演目は『相撲場風景』、大爆笑をかっさらいました。その後しばらく学校で「じよんじょろりん、じよんじょろりん」の擬音が流行ったのを覚えています。
今から考えても、落語なぞ触れたこともないような、初心者に向けた演目を選んで下さってたと思います。
で、くしくも最後になってしまった仁鶴さん。急いだ様子で登場、座布団に座って、マクラでちょっと考えオチ的な小咄を一つ。皆さんのぴんと来ない様子、ウケが今一つだったのを見て、「これでレベルを測ってるんですよ」と一言。私は個人的に「分かれよ、恥ずかしいなぁ!」とやきもきしたのを覚えてます。
そして、ここから、私の記憶が曖昧になります。
仁鶴さんの演目を思い出せない。
とにかく笑ったのは覚えてる。前のお三方の、どなたよりも。会場中が爆笑に包まれたのも。前の席の女の子が手を叩いて笑ってたのも。なのに。
あれは何だったんだろう。何を演じられたんだったっけ。残ってるのは「面白かった」という印象だけ。
30年以上前の思い出です。
ご冥福をお祈りいたします。