読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

イスランの白琥珀 乾石智子著 東京創元社 2020年

 〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ。イスリル帝国建国から中興まで。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 国母イスランにその才を見いだされた大魔道師ヴュルナイ。いまわのきわのイスランに、白琥珀と共に国の行く末を託されたものの、王族の後継者争いで裏切りにあい、その名声も地に堕ちた。それから数十年、国の中枢には欲にまみれた連中がはびこり、存亡の危機に。密かにオーヴァイディンと名を変えて生きていたヴュルナイは、いつしか白琥珀も失い、あちこちの部族を放浪し、日々の知恵を教えて過ごしていた。
 ある日、弟子兼友人のエムバスの勧めとほんの気まぐれから、無実の罪で捕らえられた若い女族長ハルファリラを助ける気を起こす。
 高価な石鹸でご婦人方の心を掴み、それを足掛かりに王宮へ。現在の王〈落雷王〉グラスグーシとその宰相ジルナリルと謁見し、だが王の態度に我慢ができず、その胸に白琥珀も見出して、二人に喧嘩を売ってしまう。結果、牢獄にいたハルファリラを引き連れて逃亡することに。
 正当に自分の冤罪を晴らすつもりでいたハルファリラや、そのために尽力してきた周囲の人々に、短慮を責められるオーヴァイディン。折しも王の命を受けたジルナリルに襲われ、返り討ちにはするものの重傷を負う。
 ハルファリラに、国母イスランと同じ、人の中に眠っていた魔道を目覚めさせる才能があることを知ったオーヴァイディンは、彼女を王に据えることを思いつく。それがイスランとの誓いを果たすことになると悟った瞬間、彼の傷口から白琥珀が現れた。オーヴァイディンは覚悟を決めてハルファリラを説得、教育と共に各部族の懐柔に、国中を渡り歩く。
 一方、怒り狂ったグラスグーシ王はジルナリルを蘇らせることを命令、禁忌の技の末 冥界から来たものたちは王自身を乗っ取った。オーヴァイディンは王であった者と対決し、ハルファリラと共に冥府の門へと引き摺り込まれる。地上に戻るため、二人はもう一つの白琥珀を奪う。…

 どうもこの頃調子が悪くてですね、本を読む気になかなかならなくて、でも期日は迫って来るので無理矢理読んでるような状態で、でこの本もなかなか進まなくて難儀しました。特に前半。
 何しろ登場人物多いですし、カタカナで出てくる名称が人名なのか地名なのか衣服なのか日用品なのか、その判断から始めなければいけないので。…これはファンタジーの宿命ですね。勿体ないなぁ、絶対好きなお話なのに。
 ハルファリラが出て来てから、多少早くなりました。ハルファリラ、いいなぁ。投獄されながらも「無実を証明したかった」「わたしの名誉、信用は」と叫ぶ姿には はっとしました。非がある相手に対しても筋を通そうとする誠実さ、忘れていたようで。
 人物の造形や異形のものの描写等、視覚に訴えて来る文章は相変わらず、グラスグーシ王の有様とか、アニメーションで見えてくるようでした。
 理解力、記憶力がもっとしっかりしてたらなぁ。こればかりはどうしようもないんですが(苦笑;)。