読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ほんとうのリーダーのみつけかた 梨木香歩著 岩波書店 2020年

非常時というかけ声のもと、みんなと同じでなくてはいけないという圧力が強くなっています。息苦しさが増すなかで、強そうなひとの意見に流されてしまうことって、ありませんか?  でも、あなたがいちばん耳を傾けるべき存在は、じつは、もっと身近なところにいるのです。あなたの最強のチームをつくるために、そのひとを探しに出かけよう。  (見返し紹介文より)

  「はじめに」に曰く、2015年 梨木さんの著書『僕は、そして僕たちはどう生きるか』文庫化の際の講演を文章化したもの、だそうで。おそらく今、コロナ禍での風潮に、警鐘を鳴らす意味も込めての出版、なんでしょう。

 この『僕は、そして僕たちはどう生きるか』は私の中ではかなり「キた」作品で、「あなたはどうなの?」と突き付けられる感がとにかく凄かった印象がありました。そうか、あの作品も同調圧力がテーマの一つだったんだよなぁ。で、多分、私負けるなぁ、長いものに巻かれてしまうだろうなぁ、と思ったんでしたよ。
 でも、それは群れを成して生きて来たという本能にも繋がることだから仕方ない。その時に、客観的な目を持つこと、それを自分のリーダーとして育てていくこと。ドッグトレーナーさんの言葉で「毅然と、穏やかに」。

 以前にも梨木さん書かれていましたが、日本を素晴らしい、と持ち上げることへの違和感は私も感じていました。まぁ、品がなくってよ、ってとこでしょうか(笑)。こういうのは自分で声高にアピールすることではなく、認めてくれる人がいて成立することなので。ただ、言ったもん勝ち、って傾向もない訳ではないのが悩ましいよなぁ。

 引用されていた石井桃子さんの、成長期に戦争を体験したある世代への言葉は、実はつい最近、私も思ったことがあってはっとしました。自分の意に添わない出来事を無かったことにする、都合のいいように解釈して信じ込む、しかも無意識に。そんな性格の持ち主が立て続けに複数人現れて、ほぼ同年代の男性だったので。思春期に敗戦迎えて価値観ひっくり返った世代のあるあるなのかも、と。周囲には迷惑な話なんですが(苦笑;)。

 それでもやっぱり、信じるしかないんだろうなぁ。螺旋状にでも成長することを。