読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

運命の逆流 ソナンと空人3 沢村凛著 新潮文庫 2020年

 『ソナンと空人』第3巻。
 ネタばれと言うか、粗筋かなり書いてます、すみません;

 空人は通訳として交易の使節団に加わり、故国トコシュヌコへ行くことに。荒れ狂う外海を越える一か月以上の船旅の後、空人たちはトコシュヌコに到着した。故国の誰にも正体が悟られぬよう使節としての務めを果たし終えたかと思われたが、最後の公式行事の晩餐会で、空人はその場を警備していた儀仗兵に罪を糾弾される。儀仗兵はナーツだった。空人はこの国で、タハルを救うための金を持ち逃げした男だと指名手配されていた。
 空人はソナンとして裁判に掛けられる。ぎりぎりで証人も現れて、何とか死罪を免れた。だがソナンは弓貴に、輪笏には戻れなくなった。
 都市警備隊に配属され、淡々と任務をこなして3年。ソナンは弓貴からの留学生に出会い、その後の弓貴や輪笏の情報を得られた。そしてさらに一年。ソナンは通訳として、再び弓貴行きの船に乗ることになる。
 強絹の虫の交易についての通訳を無事終え、あとは帰るだけになった日、男がソナンに命懸けで手紙を渡して来る。手紙は輪笏の民からで、隣領から引く水に対する取り決めが破られたというものだった。当時の領主同士が直談判するしか解決方法はない。雪大の力を借りて、ソナンは輪笏へ馬を飛ばす。期限は交易隊が送別会から戻る日没まで。懐かしい輪笏で懐かしい人々に会って、問題を片付けて、慌ただしく王都へ戻ったソナン。だが、日没には間に合わず、ソナンは規律違反を咎められて半死半生の状態でトコシュヌコへ帰る。
 通訳の仕事は手柄とならず、ソナンは元の職場へ。そこで死んだと聞かされていた母親と出会い、その交流が、ソナンの心の重しを取る。そして、一年後。貴族の娘を助けた功績により、ソナンの勘当が解かれた。ソナンはシュヌア家に戻った。…

 このあたりは一気でした。先が気になって仕方がない。もう少しで飛ばし読みする所でした(笑)。
 元々ソナンはならず者なんだから、と自分に言い聞かせながら読んだ1巻、2巻。でも3巻まで来てこういう目にあうと、いや、でも、人殺してる訳じゃないんだし、そんな言うほど悪いことしてないよね、みたいな感じになってくる(笑)。たった一日、輪笏に戻った彼に次々と貴重な水が差し出される場面は泣きそうになりました。
 裁判の場面は沢村さんのデビュー作『リフレイン』を連想しました。あの作品も罪と罰についてが大きな軸でしたね。
 さて、あと一冊。次巻でラストです。