連作短編集。
case.1 ピンク・サファイアの正義
中田正義は大学二年生。夜の代々木公園で酔っ払いに絡まれている美貌の外国人を助けた。彼の名はリチャード・ラナシンハ・ドヴルピアン、黒い布張りのキャリーケース一つ携えて世界中を飛び回る宝石商だという。何ヵ国語をも流暢に操る金髪の男に、正義は自分が持っているピンク・サファイアの指輪の鑑別を依頼する。それは祖母の遺品で盗品で、母とのわだかまりの原因でもあり、正義が 祖母の為にも 持ち主に返したいと願っている品だった。
case.2 ルビーの真実
銀座で開店した宝石店に、アルバイトで勤めることになった正義。淹れたロイヤルミルクティーに何とか合格点が出た頃、飛び込みの客が現れた。
明石真美と名乗った女性は、持っているルビーのブローチの鑑別をお願いしたい、という。後日、正義に声をかけて来た男性は彼女の婚約者だと名乗り、店には彼女の恋人だったという女性が乗り込んでくる。
case.3 アメシストの加護
ホストだと名乗った男 高槻さとしはリチャードをスカウトする傍ら、アメシストのペンダントを買って帰って行った。数日後、正義は六本木の電柱の下、ゴミ袋にまみれてぶっ倒れている高槻を見つけて救急車を呼ぶ羽目になる。彼はホステスの恋人とのすれ違いで、自暴自棄になっていた。
case.4 追憶のダイヤモンド
60歳位の紳士、小野寺昌弘氏は妻の形見のダイヤモンドリングを持ってきた。自分が身に着けるられるように、リフォームしたいという。半分黒く汚れたダイヤに疑問を持つ正義。だがリチャードは、詮索するな、と正義に釘を刺す。
extra case. ローズクオーツに願いを
恋愛が成就するパワーストーン、ローズクオーツが欲しい。同級生の谷本晶子さんとの仲が進展するように。リチャードの店で、正義は石を検分する。…
何だか色々な所でよい評判を聞くこのシリーズ、手を出してみました。この間アニメにもなってましたね。
石は元々好きです。所有欲はあまりないのですが、見るのは好き。いつかスミソニアン博物館のホープダイヤも直に見るんだ、と心に決めています。だから谷本さんのキャラ、よかったですね~(笑)。結構オトコマエなんだよなぁ。
石についての知識を教えて頂く、みたいなスタンスで読みました。何だか『ビブリア古書堂』のシリーズを連想したり。どちらも一点物についての、所有者の思い入れ等をほぐしていく、みたいな感じで。
そうそう、リチャード氏の声が櫻井孝宏さんの声で聞こえてびっくりしました。ひとことひとことしっかり区切る喋り方とか。アニメ、随分エピソード端折ってたんだなぁ。
次巻に続きます。