シリーズ2作目。
出会ったのは森の奥深く、きみの夢の底深く
秋はしだいに深まり、冬ごもりの支度におおいそがしのヤービたちは、博物学者であったグラン・グランパ・ヤービが、ややこし森でみつけたという、まぼろしのキノコ、ユメミダケを探す冒険に出発します。トリカはわたりをする一族なのですが、お母さんの頭痛薬としてそれが必要なのです。
同じころ、フリースクールの生徒ギンドロと、ウタドリ先生たちも、ギンドロの見つけた不思議な手紙に導かれ、テーブル森林渓谷、ヤービたちのいうところのややこし森へと向かっていたのでした。
ヒスイマスやヒメヒスイに導かれ、ユメミダケによる夢の中へ。そこでウタドリ先生たちが出会ったのは、木の根に足を挟まれて身動きが取れなくなっている女のひとでした。ギンドロは彼女を助けようと、サヴァイバル・ナイフで根を切ります。ヤービたちの助けも借りて。
一方トリカは、お母さんの頭痛の原因が、自分やお父さんの悪意ない癖の所為だと悟るのです。…(出版社紹介文に付け足しました)
前作をほぼほぼ忘れてまして、さすがにヤービの存在とかウタドリ先生がカヌーに乗って遭遇とかは覚えてたんですけど、具体的なエピソードをですね;;
一応、それでも楽しめました。美しく品よく描かれる、独特の風景描写は相変わらず。「まるで波乗りでも楽しんでいるかのように、風が、黄色くなった草原の上を、くりかえし、吹きわたっていました。その風には、ひとすじふたすじと、冷たくひやされた秋の本心がかくされているのですが、」…だもんなぁ。勿論食べ物も美味しそう(笑)。
トリカのお母さんのエピソードは沁みました。最初はいかにも神経質そうに描かれたお母さん、でも本当の理由はトリカの方にあって。…そう、人が信用できなくなるとしんどいよね。梨木さんの話は、妙に琴線に触れる箇所があるんだよなぁ。
「ヒスイマスと森を歩く」という言葉に、とある同人誌の作品を思い出しました。広い世界に飛び出してみたかった魚が、雨男と出会って一緒に旅する話。長いことコミケ行ってないからなぁ、続き出てるのかな。個人的に、懐かしかったです。