読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

廃墟の白墨 遠田潤子著 光文社 2019年

ネタばれになってる気がします、すみません;

 

 香川で父から引き継いだパン屋を営む和久井ミモザ。ある日、病床の父・閑に届いた手紙は、大阪の明石ビル宛だった。転送された手紙を見て、父は顔色を変える。捨てろという父の言葉を振り切って、ミモザは廃墟になった明石ビル――「王国」へ向かう。そこで待っていたのは、同じく手紙を受け取った老人三人だった。中央が吹き抜けになり、大きなギンヨウアカシア――ミモザの木が枝を広げる奇妙な構造のビルの最上階で、三人の男たちは過去を語り始める。このビルのオーナーであり、各階の男と関係を持っていた女・明石のことを、だが明石自身が焦がれたのは後藤という男だったことを。明石には白墨と呼ばれる幼い娘がおり、住人は罪悪感も手伝って白墨を可愛がっていた。

 ある日、後藤は太腿を刺され失血死した。傍らには血に塗れ、意識を失った白墨の姿。明石は後藤を喪ったショックで飛び降り自殺する。住人たちは二人の死を隠し、白墨を「普通の子供」にと育て始めた。だが、年頃になった白墨はやがて王国を去って行く。住人たちを残して。持って行ったのは住人から贈られたチョークとその箱、カスタネットと母の遺品のロルカ詩集、そして明石が大切にしていた船員手帳。そして、ミモザは思い出す。母が持っていた詩集のことを、鳴らしていたカスタネットの音を。

 ミモザたちを呼び出した人物は誰なのか。その目的は。かつての事件の真相が明らかになる。…

 

 う~ん、多少設定に無理はないかい、とちらっと思いつつ、ドラマを楽しんで読んでたら、後半いきなりミステリに。ちょっとびっくりしましたね、意外でした。ミモザの正体、というかは序章からもう明かされてるも一緒だったので、どう終わらせるのかな、とは思ってたんですよ。しかし、子供の一生を台無しにしたのは、やっぱり酷い、と思いましたけどねぇ。あれをすんなり受け止めるのか? 過去のこととはいえ??

 アイテムとしてロルカ詩集が出て来て、へぇ、と思いました。ついこの間、この人の戯曲集読んだよなぁ。『激レアさん』ではグラナダへ乗り込んでフラメンコ世界一になった人の放送があったばかりだし、なんかこういう繋がりがあると、縁かしらと思ってしまう。たまたま興味持ったことで目につくようになったただけかもしれませんが。