読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

運命の恋 恋愛小説傑作アンソロジー 村上春樹 角田光代 山白朝子 中島京子 池上永一 唯川恵 瀧井朝世・編 KADOKAWA 2019年

 四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて 村上春樹

四月のある晴れた朝、原宿の裏通りで僕は僕にとって100パーセントの女の子とすれ違う。僕はどんな風に話しかけたらよかったんだろうか。

 

 誕生日休暇 角田光代

誕生日休暇、周囲に流されるような形でハワイ旅行に出かけた「私」。手持無沙汰なままバーで知り合った男性は、明日結婚するのだと言う。彼は、長年付き合った彼女とではなく、別の女性と結婚することになった経緯を語る。

 

 布団の中の宇宙 山白朝子

スランプに陥って長いこと作品が書けなくなっていた小説家。彼は中古の布団を手に入れてから、異世界に触れるようになったという。そこから得た発想で再び書き始める作家。異世界は足先から、やがて…。

 

 おさななじみ 中島京子

店を閉めて結婚すると語る玲。相手は久々に再開した高校の同級生だという。

 

 宗教新聞 池上永一

 婚姻届を出す前に妻に逃げられ、会社に通う以外はアパートに籠っていた山口光士。数々の新聞勧誘の中、一社異様に執拗なのが宗教新聞。若い女が、勝手にタブロイド判を配達してくる。いらいらと断っていたのに、ある日その宗派のお祈りだと言う「1分間の目かざし」を受けてしまう。

 

 僕の愛しい人 唯川恵

 真面目に、こつこつと生きているのに、どうしても報われない。出世するのは世渡りの上手い奴ばかり、無能な上司に自分の手柄を横取りされる。やはり誠実に生きている千晶と知り合い、心から愛し合うようになった頃、「僕」はとある社長令嬢と知り合い、一方的に惚れこまれる。このチャンスを逃す話訳には行かない、でも愛してるのは千晶だけ。だが、この理論を、千晶には分かって貰えない。…

 

 池上永一さんの名前を見て、「あ、新作出たんだ」と予約を入れたら、アンソロジーでした。しかも半分は読んだことない作家さんだよ、その上池上さんの作品は読んだことあるやつだし、う~ん、と思いつつ読んでみました。

 村上春樹さんの作品は本当に初めて読みましたが、人気あるのが理解できました。何とまぁ、チャーミングな文章書く人なんだろう! でまぁ、本当、ロマンチック。読んでて嬉しくなってしまいました、何か凄く人生肯定的に捕えられそう。

 中島さんの『おさななじみ』は私、うっかりしてネタばれの一文を先に目にしてしまいましてね; これ、知らないまま読みたかったなぁ、数々の伏線を、私はスルーしてしまったか、それとも気が付いたか。…いや、気付いた気はするんですけどね、この頃そういうセンサー敏感になってるから(苦笑;)。

 唯川さんの作品は、まぁあるっちゃある作品なんだけど、語り口ですよね。語り手の常識に捕らわれない感が醸し出す恐怖。これも欲なのかなぁ。

 本当、短い作品ばかりでしたが、すらすら読めてどれも面白かったです。